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季刊地域Vol.58 (2024夏号)ゆるくらジャーナル

岐阜

栽培も利用も拡大 「伝承作物」エゴマは市民の誇り

 寒さが厳しい飛騨地方でエゴマは古来「あぶらえ」と呼ばれ親しまれていました。冬の貴重な保存食として各家でタネを継いできたそうです。

 岐阜県中山間農業研究所では、飛騨地方全域から集めた73の在来種を分析し、旧古川町で栽培されていたタネに健康成分のα‒リノレン酸とルテオリンが非常に多く含まれていることを明らかにしました。そこから選抜育成した品種が2013年に「飛系アルプス1号」と命名されています。

 飛騨市では、農家の田中一男さんを代表とするエゴマ生産組合がこの品種の作付けを増やしてきました。当初の生産者は30人ほどだったそうですが、18年から市が3年間限定で出荷量1kg当たり1000円を補助したことで急増。昨年は64軒の農家が計4.7haの畑で栽培しました。

 飛騨市は16年から毎年「飛騨エゴマ月間」を設けて魅力を1カ月にわたって発信しています。今年の2月は、「えごま蕎麦」や「あぶらえワッフル」などの料理やお菓子を提供する市内25店舗でスタンプラリーを開催しました。他にも料理教室を開いたり、レシピを配布するなど推進に積極的です。農林部の麻生あさぶ貴秀さんは「エゴマは市の『伝承作物』。地域の誇りづくりをしているんです」と話してくれました。

エゴマ畑の除草作業

(農文協 鈴木悠嵐)

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