小野智行(岡山県 高梁市地域おこし協力隊)
子供に防災意識を持たせる意味
岡山県の高梁市と真庭市で防災教材や防災番組の制作、講演活動をしています。かつて陸上自衛官として災害対応にあたった経験から、災害が起こった後の救助や支援には限界があることを実感しました。家庭での事前の備え(自助)の重要性を強く感じ、年間約100回の防災講座を通じて、自助の普及と支援に取り組んでいます。
子供の頃から防災意識を持つことは、将来も持続する習慣となります。また、子供は災害を素直に怖がることができるので、防災を自分ごととしてとらえ、親や地域を巻き込みやすいという特徴があります。
そこで、「子供たちが自助の考え方を理解し、楽しく学べる方法を提供したい」と考え、防災ボードゲーム「PREPPER」をつくりました。
イメージして備える力を育む
プレッパーは、楽しみながら自助の考え方を学べるすごろく形式のボードゲームです。このゲームの目的は、災害リスクを見積もり、必要な対策を準備する考え方を身につけることです。ゲームは「備えフェーズ」「災害フェーズ」「復興フェーズ」の三つのフェーズに分かれています。
備えフェーズは災害を乗り越えるための準備です。プレイヤーは家族構成や地域(田舎・都会)に合わせて最適なアイテムカードを集めます。
例えば、田舎コースなら土砂災害や洪水のリスクが高いので、安全行動グッズを備えておく。都会コースなら食料が手に入りにくいので、非常食を備えておく、などです。
災害フェーズでは、地域や時間によって変化する災害の状況に対応しなければなりません。プレイヤーは、備えフェーズで集めたアイテムカードを使って困難を乗り越えます。
最後に復興フェーズを経て、最も多くのポイントを持っているプレイヤーが勝利します。
初めてのプレイでも、大人も子供も楽しく盛り上がります。そして2回目以降は、災害時の状況をイメージして最適な備えを考える力が養われます。
地域のアーティストやデザイナー、ライターと協力し、カラフルで親しみやすいデザインにしました。マス目には「防災グッズを買い過ぎて部屋が狭い アイテムを一つ手放す」などクスッと笑える内容を盛り込み、子供たちが飽きずに楽しく学べるよう工夫しています。
防災講座や授業でも
プレッパーは、防災講座や研修、小学校の授業でも使用されており、高い評価を得ています。これまでに複数の小学校や市役所、体育館、防災団体に寄贈しています。
成果として、ゲームを楽しむ子供たちは防災の知識を深め、「もっと防災について学びたい」という声が多く寄せられています。教師や防災関係者からも、教育ツールとして非常に有用であり、子供たちの防災意識を高めるのに役立っていると評価していただいています。
現在、有志が手づくりで製作していますが、今後は生産態勢を整え、さらに多くの学校や施設に提供することを目指しています。また、市販化を進め、家庭でも繰り返し遊んでもらえるようにしたいと考えています。
多くの方に遊んでほしいです! 興味を持った方はご連絡ください
☎ 080-3800-3226
hebikuiwasi2@gmail.com
編集部でも実際にボードゲーム「PREPPER」を体験してみました! 本記事とあわせてご覧ください。