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季刊地域Vol.60(2025冬号)試し読み

高知

【里山・裏山から生まれたもの】ヒノキロケットストーブ

高知県宿毛市・すくも森林塾卒業生の会 文=編集部

 人工林のほとんどをヒノキが占める宿毛市。製材用の丸太にならない林地残材を活用しようと、ヒノキのロケットストーブが生まれた。

 これをつくるのは「すくも森林塾」の卒業生たち。森林塾は2015年に市が始めた自伐型林業の育成講座で、山に興味はあるが経験がない人が対象だ。チェンソーやバックホーの安全講習をはじめ、道づくり、伐倒、集材など、山づくりの方法が一通り学べる。伐倒した木をより高く売るための造材講座も好評だ。当初は定年退職後に自分の山の管理をしたいという参加者が多かったが、生業として山仕事に関心を持つ若者が参加するなど幅が広がってきた。

 参加者は講座を受けて終わりではなく、任意団体「すくも森林塾卒業生の会」に入ることで、技術研修や視察ができるほか、補助金や施業依頼などの情報が得られる。自伐型の林家同士が緩やかにつながる場で、現在は30人の会員がいる。

 卒業生の会が丸太のロケットストーブづくりを始めたのは22年。丸太で焚き火を楽しむスウェーデントーチを見て、煮炊きにも使える改良型をつくることにした。造材していると「タンコロ」と呼ばれる木の根元、曲がった部分が残ってしまう。これを使えると考えた。

 つくり方は、まず直径20~30cmのタンコロを、高さ40cmに切って乾かしておく。次に30mmの木工用ドリルで、丸太の切り口の中心に縦穴をあけ、そこにつながるよう地面から10cmの高さで水平に横穴をあける。縦穴の煙突効果で横穴から空気を吸い込み、勢いよく火が燃える仕組みだ。この大きさなら2~3時間は調理に使える火力を保つことができ、その後は焚き火として楽しめる。

 五徳になるかすがい2本と着火剤もセットにし、ふるさと納税に1万2000円で出品中だ。

『季刊地域60号』2025年冬号」のコーナーには以下の記事も掲載されています。ぜひ本誌(紙・電子書籍版)でご覧ください。

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