特集「里山・裏山林業を成功させる!」
今号の特集は「里山・裏山林業を成功させる!」。
里山の雑木林も裏山の人工林も、山には地域資源がいっぱい。スギやヒノキの木材利用以外にもたくさんある売れるもの、売り方、道具や機械、態勢づくりまで、小さい林業の知見を結集した。
岩手県八幡平市の里山保全グループの合い言葉は「定年後20年現役」。人の手が入らず暗くなったかつての薪炭林の復活が仕事の中心だ。薪ストーブ需要などから固定客がつき、薪の年間売り上げは70万円ほど。山に入るようになると、ホオノキの樹皮やクロモジ、ツチアケビのような漢方原料になる植物まで売れるようになり、小さく稼ぐ定年後の楽しみ林業がますますおもしろくなっている。
雑木林にはお宝が眠っている。様々な広葉樹の枝葉や実が、生け花やインテリアに使われる「枝物」として最近注目だ。暗くなった里山を明るくするため抜き切りした広葉樹は、家具材などとして売ることもできる。こうした里山雑木林の活用を「里山林業」と名付けたのは、栃木県の職員として長年林業に関わってきた津布久隆さん。里山林業成功のポイントを解説してもらった。
農山村の集落は、昔から地域の共有林・公有林(財産区)を地域のために活かしてきた。その価値を再認識しながら、「宝の森林プロジェクト」として住民による小さい林業を始めたのは秋田県能代市の梅内地区。「大きい林業」のほうは森林組合に委託しながら、住民自ら薪販売や薪活用に取り組む。山に手を入れたことで山菜がよくとれるようになり「山菜倶楽部」も結成。山の資源を活かしたGB(じいちゃん・ばあちゃん)ビジネスが盛り上がっている。
そのほか、役立つ道具・機械として、手作り木材乾燥施設やバックホーの便利アタッチメント、薪を燃料として活かす薪ボイラーやペチカの話題も取り上げた。
また、第2・第3特集として「集落機能強化加算廃止でいいのか」「米でつくる関係人口」も掲載。前者は、中山間直接支払の「集落機能強化加算」の意義を掘り下げた記事。研究者からの問題提起もある。後者は「令和の米騒動」の中で起きている新しい米販売のカタチ。食料安全保障には農家が元気になることが欠かせない。
そのほか、
地域計画を絵に描いた餅にしないために/農の作業着「たつけ」から始まった地域おこし/秩父養蚕 1戸からのリスタート/「断熱」に立ち上がった子供たち/地撮り!地元の広葉樹を薪だけでなく器にも、など。
ぜひお楽しみください!