国産ヘーゼルナッツで地域活性化!低コスト栽培に挑戦。
2021年発足の「かほくナッツ研究会」は、遊休農地を活用し、現在9人が計1.8haで栽培しています。ヘーゼルナッツの栽培は機械が不要で手間が少なく、作業がラク。国産品の需要が高まっており、新たな特産品としての期待が集まります。
山形県河北町・かほくナッツ研究会、文=編集部
農家グループの研究会が発足
2021年、果樹専業農家と兼業農家の6人が地域商社「かほくらし社」と連携し、ヘーゼルナッツの生産グループ「かほくナッツ研究会」を立ち上げた。地域商社は町内外の企業が地場産業を支える目的でつくった会社で、東京でアンテナショップも運営する。

初年度は町内6カ所に250本。この春植える圃場も加えると、合計1.8haの面積に720本の苗木を植えたことになる。会員も9人に増えた。品種はイタリアのトンダ・ジェンティーレ種で長野市のフル里農産加工(『季刊地域』57号(2024年春))から導入している。当初の苗木代(1本約6000円)は地方創生推進交付金から全額補助。その後は町から半額助成を受けて栽培面積を増やしてきた。
発起人で会長の生稲洋平さん(45歳)は、サクランボ1ha、モモ50a、リンゴ30aと米1.5haの経営。神奈川県出身でイタリアンの料理人として活躍後、06年に河北町へ移住し、妻の実家の農園で就農した。
生稲さんを含む会員5人は専業農家で、それぞれ果樹園や畑の一部に植えている。残り4人は兼業農家で、担い手の高齢化で返された田んぼに。田んぼが戻ってきても田植え機もコンバインもない。栽培に機械がいらないヘーゼルナッツはちょうどよかったのだ。
手のかからない品目で農地を守る
生稲さんがつくるサクランボと比べると、高所での作業はないし圧倒的にラク。管理作業は、月1回の除草と、アブラムシ・コガネムシ・カミキリムシの防除を年に4〜5回。施肥や剪定、かん水はしていない。手をかけずに育てるとどうなるか、確かめようという気持ちもあるそうだ。収穫も落ちた実を拾うだけでいい。
サクランボの中でも主要品種の佐藤錦は、高温障害で育てるのが難しくなってきた。高齢化で放置された園地では代わりにヘーゼルナッツがいいかもしれない。
また生稲さんは、兼業農家にこそつくってほしいと言う。手間がかからず、おカネになりそうなヘーゼルナッツ。これで一緒に地域の農地を守りたい。
収穫までは3〜5年。研究会の昨年の収量はまだ3kg程度だ。今年は20kgはとれるのではないかと期待している。

現在、国内で流通するヘーゼルナッツのほとんどはトルコからの輸入品だ。アイスクリームやチョコレート、焼き菓子などの加工品需要が大きく、国産品はパティシエからの期待が大きい。かほくらし社が持つ販売ルートは300もあるそうだ。