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試し読み季刊地域No.61 (2025春号)ゆるくらジャーナル

山形

集落みんなでホタル調査

全国をまわる農文協職員が集めた元気な活動の数々をご紹介します。「ゆるがぬくらし」「ゆるがぬ地域」づくりに取り組む全国各地の耳寄りな情報です。


ゲンジボタルのオス

 鶴岡市の森片もりかた集落では16年間ホタル調査を続けています。発起人は、多面的機能支払組織・森片もりかた地区農地水環境保全会の事務局で中学理科教諭だった中里浩也さん(63歳)。2008年にホタル観賞会を開催したのを機に、20戸が当番制で続けています。調査期間は6~8月で、各家3~4回の当番が回ってきます。

 当番当日は、調査に必要なものが入った「ホタルバッグ」を持って調査地へ。バッグに用意された地図上に、ホタルの飛翔場所と数を×印で記入。気温と湿度、気づいたこと(月明かりや風向き、水の量など)も記録し、30分ほどで終了です。飛翔数は集落のLINEグループでもすぐに共有。ホタルバッグを次の当番に届けます。

 これまでの調査によると、ゲンジボタルは底が砂で湧き水が流れる水路に、ヘイケボタルは水田に出没します。発生時期はゲンジが6月、ヘイケは7~8月。数が一番多かったのは12年の3724匹、24年は201匹と過去最少でした。

 ゲンジは水路の土手で6月中旬頃羽化します。調査を始めてから、そのピーク時期は草刈りを避けたり、田んぼではホタルのために以前より弱い農薬を使うようになりました。

 近年の飛翔数が少ないのは、砂の水路に泥が堆積しゲンジのエサのカワニナが減ったからでは、と中里さん。どうしたらいいか、様子を見ているところです。

(農文協 横山宗和)

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農文協 編
特集:農家が足りない! 増やすために動く
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気候変動による豪雨の頻発によって、日本各地で洪水被害が多発している。近年はダム建設や堤防強化といった従来の治水対策では十分な効果が得られなくなりつつあり、そのため国も流域に暮らす人々すべてが治水にあたる『流域治水』という新たな考え方を導入した。 水田に雨水を貯めることで河川への排水を抑え、下流域の洪水被害を軽減する田んぼダムはこの流域治水の一つであり、比較的安価かつ短期間に取り組めることからも注目をあつめている。本書では田んぼダムの仕組み、効果や導入のポイントについてわかりやすく紹介する。
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