ホーム / 連載 / 地域マーケティング講座 / 【社会起業家いのはらゆきこの地域マーケティング講座】第4回のおまけ 段ボールプレゼンブックは完璧につくるよりどんどん使うのが大事
最新号より連載地域マーケティング講座季刊地域No.61 (2025春号)

和歌山

【社会起業家いのはらゆきこの地域マーケティング講座】第4回のおまけ 段ボールプレゼンブックは完璧につくるよりどんどん使うのが大事

季刊地域No.57(2024年春号)から始まった連載のはみ出し情報を不定期でお届けします! 本誌の記事と一緒にお読みください。『季刊地域』No.61(2025年春号)掲載の第4回は「自治体や地域を巻き込むときに大事なコミュニケーション」。誌面に収まりきらなかった内容を、質問に答える形でお知らせします。

猪原有紀子(和歌山県かつらぎ町・くつろぎたいのも山々)

段ボールプレゼンブックを使ってプレゼンする受講生
Q

第3回に続いて段ボールプレゼンブックの話題がありました。作り方についてもう少し詳しく教えてください。
A

作り方やレイアウトなどに、もっとノウハウ的なものがあるのでは……と思う方がいるかもしれませんね。

でも、段ボールプレゼンブックは、頭の中にあるものをいったん外に出して、人に話していく中で追加したり修正したりしていくものなので、第3回で書いた内容が核となります。それに、プレゼンブックそのものが大事なのではなく、プレゼンブックを作って人に話していく過程が大事なんです。

理想が実現してない人の9割は、脳みそからそれを出してないことが原因です。実現したいことを100人に知ってもらったら、応援者が生まれない方がおかしい。知ってもらうことで実現確率は上がるのですが、例えばめちゃくちゃ頑固な人、完璧主義な人は、人にプレゼンをするまでめちゃくちゃ時間がかかります。とっとと作ってすぐ1人目に喋ればいいのに、完璧なプレゼンブックを作ろうとするんです。

こういう人は、成果が出るまで膨大な時間がかかります。人に話さないことには改善点が見つかりません。私が主宰している女性の社会起業スクールの受講生には「完璧主義じゃなくて完了主義でいけ」と伝えています。

このあたりのことはすごく大事なので、次回の誌面(No.62夏号)のほうで書こうと思います。

Q

自治体とウィンウィンの関係を築くポイントの一つに「提案には具体的な成果や数字を示す」とありました。猪原さんご自身の場合を例に、どんな成果や数字を示したのか教えてください。
A

ブルーベリーの観光農園を始めるにあたって次のような数字を示して自治体の協力を得ました。

①ブルーベリー養液栽培の成功事例
他地域でのブルーベリー養液栽培の導入事例として、収穫量や品質の向上に関するデータや収益性の向上を示す経済データ。

②成功確率の数値
養液栽培による成功確率(○%の確率で収穫量が安定)。一般的な畑での栽培と比べての病害リスクの低減率や収益性の向上に関する統計。

③日本で最も集客しているブルーベリー観光農園のデータ
来園者数や売上の実績。収益構造(入園料、摘み取り販売、加工品販売などの比率)、施設の規模や導入設備。

この辺りのデータを活用して、具体的な収益モデルや成功の可能性を示しました。

筆者が経営する、養液栽培によるブルーベリ観光農園

著者:猪原 有紀子

兼業農家でありながらソーシャルビジネスを複数立ち上げる。「無添加こどもグミぃ〜。」販売、「くつろぎたいのも山々」運営、女性の社会起業スクール「SBC」主宰、株式会社やまやま代表取締役。

この記事をシェア
タイトルとURLをコピーしました