特集「米騒動の『次』へ お米と田んぼの誘引力」
今号の特集は「米騒動の『次』へ お米と田んぼの誘引力」。
お米がこんなに注目されるのはいつ以来だろう。でも、高いか安いか、値段のことだけでは残念――。今号の特集「米騒動の『次』へ お米と田んぼの誘引力」は、いま米を自分でつくることに関心を寄せている米農家以外の人々と、そんな人たちを巻き込もうと新しい試みを始める農家・農村の動きを取り上げている。以下、特集の中からいくつか紹介してみよう。

49歳男性。所有する田んぼを預けていた担い手の急逝で、今年初めて自分で米づくりをすることになった。不安でしかたなかったが、近所の先輩農家の支援を受け、農家の息子として生まれた自分の使命を見つけたかのようである。一方、アメリカ暮らしを経て日本のご飯のおいしさを再発見した非農家女性。娘とともに米づくりを習い、その奥深さを知る。娘は農学部に進みたいと言い、自分は兼業農家になりたくなったそうだ。
では、農家・農村の側は――。熊本県津奈木町では、一部の農家だけでは地域の田んぼを守れないことを悟った担い手農家の呼びかけで、兼業農家向け「お米の学び直し講習会」が開かれている。長野県長和町では、防災用の備蓄米づくりと地域のために使える資金を増やすため、遊休水田を利用した自治会の米づくりが始まった。数年前から「自給家族」という新しい米産直を始めた愛知県豊田市敷島地区にも変化があった。草刈り、獣害、放置竹林対策など、地域が抱える困りごとに「自給家族(お米のお客さん)」の力を借り、それを米産直と組み合わせる手法を思いついたのだ。新しい「家族」のあり方が見えてきた。

この秋の米産地は、大幅アップした1俵3万円近いJA概算金(米代金の仮払い)に沸く。だが底流では、高齢化や農家の減少を乗り越える、もっと力強い動きが始まっているように思う。ちなみに3事例はいずれも中山間地で、いわゆる水田地帯ではない。言い換えれば、あらゆる農村には田んぼがあり、やる気になれば、どこでも田んぼを核にした愉快な取り組みができるということだろう。
なお特集には、小さい米づくりを始めるための機械や道具についての実践的な記事もある。また、先人が水利技術とともに田んぼを拓いてきた歴史についての図解記事や、田んぼで育まれる生きものの「誘引力」も取り上げている。

特集以外では――日本のエネルギー問題ウソとホント/好評!ゼロ円空き家バンク/多面的機能支払の活動に「直営班」が大活躍/ゼロカーボン防災型まちづくり/里山年金のすすめ/ペーパーハンターを獣害対策の助っ人に、ほか。
ぜひ本誌でお楽しみください!