このコーナーは、「ゆるがぬ暮らし」「ゆるがぬ地域」づくりに取り組む、全国各地の情報です。
 本誌や『現代農業』『電子図書館』などを携えて、各地を訪ねる農文協職員が集めた元気な地域の活動の一部をご紹介します。

おとなのしゃべり場
夜の直売所

秋山友香

 毎週火曜夜8時、大阪府貝塚市貝塚駅近くの空き店舗前で夜の直売所VEGE☆NIGHTが開かれます。小さな売り場にとれたての野菜が並び、食に敏感な女性や話し好きの常連が毎回30人近く集まります。

 出荷者は貝塚の若手農家組織、貝塚4Hクラブの農家5人で、他地域の農家やパン屋、カフェの人もときどき出荷。毎回よく売れますが、売り物がなくてもしゃべりに来る人もいて、仲間やお客さんとの交流が何よりの楽しみです。

 会長の北野忠清さん(25歳)はもともと話し好きで、大学時代から昨年まで地元ラジオのパーソナリティを務めたほど。2008年、番組で実家の伝統野菜の話をしたら反響があり、スタジオ前に野菜を並べたのが始まり。帰宅途中の会社員や居酒屋の大将に喜ばれ、夜なら農家も集まりやすいと恒例になりました。

北野農園(北野忠清) 電波0724-31-6747

島野菜パッケージ
島外若者とコラボ

編集部

 伊豆諸島の東京都新島村は昨年、農家の要望で島野菜を売り出す試みを始めました。これまで自給的に生産されてきた甘さ格別のタマネギや珍しい白いサツマイモ、柔らかいアシタバの新芽は、少量なので市場出荷できません。役場職員が都大島支庁に相談すると、少量でも島の野菜を扱いたいという仲卸会社を紹介してくれ、都内高級スーパーに販路が開けました。

 新島の個性を伝えるパッケージづくりに協力してくれたのは島に通う若者7人組「Nieve」です。メンバーは都内のデザイナーや編集者などで、昨年から島に畑を借り月数回訪れています。農家が畑を貸した縁で今年3月、彼らと農家、役場、JA、普及所の職員がチームを組み、まずはタマネギの箱をデザイン。5月に都内高級スーパー数店で販売が始まり好評です。今後は島のお年寄りに聞き書きしてイメージをふくらませ、新島の魅力を伝えるデザインを磨く予定です。

新島村ふれあい農園 電話04992-5-0539

天草たこダービー
重量競い豪華賞品

編集部

 熊本県天草諸島の高級真ダコ産地、苓北町にある天草漁協苓北支所は、2009年から「天草たこダービーIN苓北」を開催し、毎回百数十人が応募する人気イベントになっています。1口6000円でタコつぼオーナーになると、5月末から約1カ月の間に、タコ漁名人の福島築広さんがオーナーのタコつぼを5回引き上げ、タコつぼごとに漁獲の総重量を競います。

 獲れたタコは計測後すぐに冷凍され、全国のオーナーのもとに送料無料で直送されます。多い人は6kg、1匹で3kg超の大物が獲れることも。優勝者にはクルマエビや干物など豪華海の幸が贈られ、漁獲ゼロの人にも抽選で優勝と同じ賞品が当たります。今年は146人が参戦し、132人がタコを獲得でき豊漁でした。1匹ずつ計測して内臓を取り冷凍・発送する作業は大変ですが、苓北ファン、産直のお客さんになってくれるオーナーも少なくないのでがんばれます。

天草漁協苓北支所 電波0969-35-0050

皮も生かせる
山の獣でエコレザー

編集部

 獣害対策で捕獲されたイノシシやシカの皮は、肉と違って用途がなく処分されるだけでした。東京都墨田区の皮革加工会社山口産業は、獣の皮の加工を引き受け、農山村での革製品づくりを支援しています。

 同社は関東地方の新鮮な豚皮でつくる質の高い革製品で定評があり、通常のなめしで出るクロム廃液を減らすため植物タンニンでなめすエコレザーも開発しています。評判を聞いた札幌のエゾシカ協会や、イノシシの特産化を進める島根県美郷町から3年前に相談を受けました。試作してみた山口明宏専務は、大きさのばらつきや傷はあるが地産地消ならそれも個性として活用できると感じました。イノシシもシカも加工賃は1枚5000円で、もちろんエコレザー。産地とユーザーを橋渡しするNPOを通して複数の自治体から依頼を受けています。美郷町では名刺入れを試作し、イノシシ革製品のデザインコンペも開催しています。

NPO法人メイド・イン・ジャパン・プロジェクト 電話03-5413-3243

水車を守る
寄付つき商品

編集部

 福岡県朝倉市の山田堰土地改良区(1206戸、652ヘクタール)では、200年前に建造された3カ所7基の水車が今も35ヘクタールの農地を潤し、国の史跡にもなっています。しかし、毎年の維持管理に120万円、5年に1度の新調更新に850万円と農家の負担が大きく、存続が危ぶまれる状況にあります。

 同市の直売所「三連水車の里あさくら」は地域の象徴を守ろうと、水車の建て替え時に廃棄されていた部材をガーデニング資材として1000〜2000円で2年前から販売。売上げの85%を土地改良区に寄付しています。建て替えのある年の1カ月限定販売ですが、これまで2回で26万円寄付できました。昨年9月には水車の動力でスギの葉線香をつくり続ける同県八女市の馬場水車場の線香(1束500円)も寄付つき商品に加え、売上げの10%を寄付します。今後はカキのお菓子など他の商品にも広げる予定です。

三連水車の里あさくら 電話0946-52-9300

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