『季刊地域』のこのコーナーでは、本や映画のほか、全国各地の読者のみなさま、農文協の支部職員から寄せられた「ゆるがぬ暮らし」を応援するさまざまな地域情報をお伝えします。webではその中の情報ターミナルから“ちょっとだけ”公開します。

建物不要の直売所
畑スーパー

秋山友香

和歌山県紀の川市の榎本猛さんが経営する畑スーパー「あっぱれくん!」は、畑で収穫し、その場で購入できる直売所。10アールの畑のほかは、看板と小さなハウスしかありません。鮮度は最高。毎週買いに来る常連さんが何人もいます。畑の野菜は近くの直売所「めっけもん広場」にも出荷します。

JAを通して農業体験も受け入れています。個人やグループ、学校など、年間400〜500人が訪れます。料金は1人1000〜1500円。都会の人は、生のトウモロコシや氷で冷やしただけのキュウリなど、とれたての野菜の味に感動します。

榎本さんは毎月第1日曜の9〜12時、畑スーパーの小さなハウスで音楽仲間と「勝手に気まぐれミニライブ」も開きます。畑のハウスに、カラオケ、エレクトーン、ギターを常備し、この日も自分で作詞・作曲した歌を熱唱してくれました。

榎本猛 電話090-2384-6445

食べて貯めよう
ファームマイレージ

編集部

大阪府東大阪市では2009年から、エコ農産物の購入で健全な農地を守る「ファームマイレージ2」を進めています。府と市とJAが考案した仕組みで、府が農薬・化学肥料5割以上減と認証するエコマーク48枚を市内JAの直売所で集めると、おおむね5㎡の農地を守ったとして感謝状と300円相当の野菜が贈られます。畑1㎡当たりダイコンなら5.5㎏(5本)と目安があり、袋に貼られたエコマークの枚数は栽培面積に対応しています。

市内のエコ農産物の栽培面積は、2008年279アールから2011年1595アールに増えました。JA グリーン大阪3店舗でのエコ農産物の売上げも、2007年度135万円から2010年度3008万円に急増。エコ農産物に取り組む農家も増えており、お客さんから農家に「おいしかった」と声が寄せられるようになりました。同様の取り組みが府内の交野市、千葉県山武市、兵庫県三田市、佐賀市など各地に広がっています。

東大阪市農政課 電話06-4309-3180

青年部の仲間で
軽トラ直売市

岩渕芳枝

北海道剣淵町のJAきたひびき青年部剣淵支部(26人)は、軽トラで農産物を売る「軽トラマルシェ」を開いています。青年部長の高橋朋一さんは元営業マン。Uターンして農家を継ぎましたが、お客さんと直接話す機会がないと感じていました。仲間にマルシェの開催を相談し、2010年8月、町内の祭りに11人11台で初出店しました。

マルシェでは1日数万円の稼ぎになり、いろいろな野菜が売れるので、参加者はジャガイモなどのほか、レンズマメ、葉菜のスイスチャードなど、新品目にも挑戦しています。各自2〜4反のマルシェ畑をもつようになり、7人は直売所にも出荷しています。話すのが苦手だった部員も自分の野菜をすすめられるようになりました。道の駅や公共施設の駐車場で開くので場所代もかからず、出店料もゼロです。

2011年、参加者は15人に増え、町外にも呼ばれて計14回開催しました。8月には剣淵高校の生徒たちが軽トラマルシェと並んで自校の農産物を販売したほか、9月には商工会などと共催、10月には青年部全体で開催するなど動きが広がっています。

高橋朋一 電話080-1886-8622

回収から製造・販売まで
かまぼこの廃食油でBDF

編集部

宮城県塩竃市は、かまぼこを中心に魚の練り製品の生産量が日本一。1960年代はじめ、市内に点在していた水産加工会社(266社)は、工場排水処理の必要性から新浜地区に団地化し、給水・排水を目的とした組合を設立しました。

課題となったのは、揚げかまぼこなどの製造の際にでる廃食油。その量は12工場で年間約36万ℓにのぼります。そこで2006年、組合は1億3000万円(環境省補助事業)でBDF(バイオディーゼル燃料)プラントを建設し、廃食油の再資源化がはじまりました。団地で工場が集約化されているため回収コストが抑えられ、毎月3万ℓの廃食油から2万7000ℓのBDFが製造されています。精製歩留まりも9割と好調。

BDFの車両での利用は会員登録制とし、陸運局への登録業務を組合が無償で請け負います。1ℓ=100円と市販の軽油より約25円安く、同市の公用車や循環バス、運送会社のトラックなど200台が登録しています。

3月11日の震災では、組合員が市の給水車への給油や発電機を動かし飲料水をポンプアップ。臨時の給水所として、断水の被災住民を支援しました。

塩釜市団地水産加工業協同組合 電話022-362-8111

「復活の薪」プロジェクト
いよいよ第二章へ

田中克樹

津波で倒壊した住宅の柱や梁を薪に加工して、自立した震災復興を進めようと始まった「復活の薪」プロジェクト。薪を詰めた米袋10kgを500円で販売し、売上金は薪づくりに携わった被災者の作業代として、1袋つくるごとに地域通貨「吉里吉里銭ンコ」500円か現金400円が支払われます。取り組みがスタートした5月から、材料のがれきがなくなる9月末までに、5000袋以上を販売してきました。

プロジェクトの第一章を終えたスタッフは、10月に組織を「NPO法人吉里吉里国」に法人化。スローガンを「復活の森」に変え、今後は放置されている地元の山の手入れをしながら、間伐材を販売するほか、細い木材などを薪に加工・乾燥し、「復活の薪 第二章」として販売する予定です。すでに6月から技術研修(通称、吉里吉里国林業大学校)を重ね、10月には岩手県内に3人となった馬方による「馬搬」も研修。11月は作業道づくりも行ないます。復興とあわせて持続可能な林業経営に向けて、第二章の歩みが力強く始まりました。

NPO法人吉里吉里国 http://kirikirikoku.main.jp/

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