本の店英進堂は、日本初の石油採掘の街として知られる新潟市秋葉区(旧新津市)で2009年、創業50年を迎えた。

 社長の諸橋英郎さん(77歳)は三条市出身。高校を卒業後、新潟市内の書店で住み込みで書店業を学び1959年に独立する。はじめは個人宅や学校への配達で得意先を増やしてきた。

「当時は3坪ほどの小さな店だった。2階の軒下にはダイコンも干してあって」と語るのは、専務の諸橋武司さん(49歳)。大学卒業後2年間、東京・新橋の書店で修行して家業を継いだ。

「地元話ができること、個人店の魅力はこれに尽きる」が、専務の持論である。

 そんななか2010年、諸橋専務が企画したのが、地元商店街のPRパンフ『わたしの好きな店』だ。

「みんな自分の商売が好きで一生懸命。まずはヒトをみてください。
この土地に暮らす、あなたのために」。
『わたしの好きな店』より

「イベントのお客さんは一時的なもの、日常客にはなりにくい。それよりはパンフで店の顔を継続的に紹介する方が宣伝効果はある」と、取り組みを発案した。

 だが、たんに商品の宣伝文句だけではおもしろくない。諸橋専務は、店の歴史やこだわりを店主から聞き取って掲載することにした。 以下、一部を紹介しよう。

「製品を並べて販売するだけの小売店が弱体化する現在、力強い店がある。時計修理の技術について、一流の腕前をお持ちのご主人・吉岡さんの経営するヨシオカ時計店がその店だ。他所で修理を断られた時計でも期限なしの条件で預かるのが吉岡さんの信条。加えて、修理代もメーカー修理の半分くらいが普通だ」「儲かるどころか逆に損するぐれ夢中になることもあるっけね」。店主の言葉は、職人気質な人柄ものぞかせる。

 2000部作成の費用は、11の掲載店から1万円ずつ集め、残りは英進堂で負担した。完成後は掲載店やイベントで配布したという。

「怠けることなく、正直に商売を続けることが許される街がいい。大型店も小さな個人商店も共存してこそ、競争があり、買い物をする場所が変化に富んで、生活が楽しくなる」と諸橋専務。

 昨年は、近所の神社の境内を利用して住民参加の「秋葉一箱古本市」を開催。今後の展開に期待も高まる。

2000年、郊外のショッピングセンターに移転(250坪)

本の店 英進堂
〒956-0035 新潟県新潟市秋葉区程島1876
電話0250-24-1187
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文=農文協関東甲信越支部 関 清

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