中島書店の創業は1931年、中島浩社長の祖父が銀座通り商店街に開いた小さな店が始まりである。それから82年、いまやこの「まちの老舗」で買えるのは本だけではない。2年前店内に開設した「館山やさいの直売所」は、朝採り野菜も売っている。

「以前、妻と市内の定食屋で食べた有機野菜の味が忘れられなかった」という中島さん。その定食屋に野菜を提供する館山市の農家・浜崎光雄さん夫妻と話してみたらすぐに意気投合した。

「小さな書店は個性がなければ生き残れない。本だけでなく野菜も販売すれば話題になるし、有機野菜のPRにもつながる」と、書店の直売所を思い立った次第。

直売所の営業日は月・火・木・金の週4日、14~18時。
書店の客足が少なくなる時間帯だが、野菜を買いに来る
女性客が増えた

 週4日、仲間20軒の育てたニンジンやサツマイモ、コマツナなどを浜崎さん夫妻が集荷、その場で買い取って店に運んでくる。買い取り価格に高速代や燃料代を乗せるだけなので、100~300円と値ごろ感のある価格が実現。朝採りの有機野菜ということでお客さんたちに大人気だ。

 とはいえ、取り組みは始まったばかり。書店のスタッフが直売所のチラシ作成や飾りつけをサポートする。

 中島さんは売れゆきの悪い本の書棚を撤去。約8坪のスペースを直売所に充て、その一角に園芸書や料理書を並べて、本の注目度アップをねらう試行錯誤も続く。

 直売所のお客さんは1日20~30人。児童書コーナーに来た子連れのお母さんや、週2度は友達と立ち寄るという常連の女性客もいる。

 人気は店に立つ浜崎夫妻の明るい人柄と農家の知恵。

「やっぱり野菜は生が一番! 今の時期ならニンジンとリンゴをベースに、ホウレンソウを加えてジュースにすると美味しいよ。誰でも簡単につくれて栄養満点」と聞けば、お客さんもついつい耳を傾けたくなる。
そんな様子をうれしそうに見ながら、中島さんは語る。
「ワクワクする書店っていいよね。これからは本を売るだけでなく、食や健康をテーマにお客さんの情報交換の場も提供できる書店づくりを企画していきたい」

 今後も業種の垣根を越えた書店の元気が地域に広がりそうだ。

中島書店
〒260-0013 千葉県千葉市中央区中央3-3-5
電話043-224-2448

文=農文協関東甲信越支部 杉山彬子

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