このコーナーは、「ゆるがぬ暮らし」「ゆるがぬ地域」づくりに取り組む、全国各地の耳寄りな情報です。webではその中のむら・まち元気便から“ちょっとだけ”公開します。

とってもおすすめのCD&DVD本
石巻弁「おらほのラジオ体操」

編集部


石巻駅前の直売所に野菜を出荷する農家のお母さんたち。
突然の撮影にも快く応じてくれたそうだ

宮城から
「おらほのラジオ体操!」というかけ声とともに、聞きなれたラジオ体操の音楽が流れだす。いつもなら次に「腕を前から上にあげて、大きく背伸びの運動」とくるはずだが、これは「ンデば メーガラ上サ アゲテ オッキグ 背伸びッコ スッペシ」ときて「イズ ヌー サン スー ゴー ロク スズ ハズ(1、2、3、4、5、6、7、8)」と続く。ラジオ体操石巻弁バージョンだ。

一緒にラジオ体操をすることで被災者の健康増進と震災でバラバラになったコミュニティの再生につなげようと東京の健康・医療系企業が企画。ラジオ石巻、石巻日日新聞社などが参加し「おらほのラジオ体操実行委員会」を立ち上げた。石巻出身のラジオパーソナリティの協力でまずCDを作成し、昨年末にはDVD付の単行本「おらほのラジオ体操」(1000円)が全国の書店で販売開始。日本中から「元気をもらった」という反響が多く寄せられている。

DVDに収録されている映像は震災から半年後の2011年9月11日、津波で甚大な被害を受けた、石巻市を中心としたエリアで撮影された。商店街や田んぼ、漁港などいろんな場所のいろんな人々がラジオ体操をしている映像なのだが、どの人も満面の笑み。見ているこちらもつい笑みになり、うっかり元気をもらってしまう。

映像はインターネットの「ユーチューブ」でも視聴でき、CD(500円)はラジオ石巻と石巻日日新聞社で注文受け付け、全国発送も可能。売り上げの一部は義援金として被災市町村へ送られる。

「おらほのラジオ体操」実行委員会(ラジオ石巻内)
電話0225-96-1010

ハウスの暖房に薪ボイラー導入
燃料代900万円カットに成功

柳島かなた


薪は森林組合から買い取り。含水率を意識したら燃費がよくなったそうだ

鹿児島から
さつま町でブライダル用の切り花を生産する(有)南原農園では、2008年の石油高騰をきっかけに5200坪分のハウス暖房を重油ボイラーから薪ボイラー4台に換えました。薪は地元の山から出た間伐材や住宅廃材を活用。1年間でダンプ600台分の薪を消費しますが、それでも年間3000万円かかっていた重油ボイラーの頃と比べると、燃料代を900万円も削減することに成功! 薪ボイラーを導入する際にヒートポンプやペレットも考えたそうですが、燃料となる薪を地元で自給できる薪ボイラーで正解だったようです。

南原農園では2、3、4月の出荷が勝負なので、12月と1月の温度管理がとても重要です。重油を使っていると、ついつい経費削減のために1度下げるという選択をしてしまうそうですが、その1度が命取りで、出荷時期がずれてしまい損をすることも多いのだとか。その点経費を気にせず加温できるのも、薪ボイラーのいいところですね。

絶えず薪をくべるのが大変なのでは、と聞かれることが多いそうですが、南原農園では昼間は社長の南原武博さんや従業員で行ない、夜間のみパートをたのんでいます。地元の新たな雇用創出にもなりました。

高いお金を出して外国の燃料を買うよりも地元の間伐材を有効に使って、しかも地元にお金を落とせる薪ボイラーです。

(有)南原農園
電話0996-52-1525

むらの名を残そうとはじめた
「じゃがリンピック」

安藤啓太


企画、撮影、料理、デザインまですべて農家のお母さんたちが
手がけたレシピ本(1部500円)

北海道から
遠軽町白滝地区では特産であるジャガイモのレシピコンテスト「じゃがリンピック」を毎年2月に開催しています。キーワードは「おいしい、簡単、つくってみたい」。主催者は白滝じゃが生産組合加工班、農家のお母さんたちです。

合併で白滝村がなくなる前にむらの名を残そうと生産農家のお母さん8人で「白滝じゃがパワーアップチーム」をつくったのが始まり。白滝は昼夜の寒暖差が大きくおいしいジャガイモがとれるところ。近隣市町村には分けてほしいという人もいて、数軒の農家では一部を毎年直販していました。そこでむらの名がつく白滝じゃがの消費を伸ばそうと各家庭のジャガイモ料理レシピを持ち寄って印刷し、直販するジャガイモに同封することにしたのです。魚貝を使った「じゃがいもグラタン」や生地にジャガイモを練りこむ「ポテトチーズケーキ」など、農家レシピはとても喜ばれました。

活動を知った普及所に勧められて2006年からじゃがリンピックを始め、8年目となる今年は町内外から14件の応募がありました。JAや県にも審査に加わってもらい毎年4つの入賞作品を選びますが、今年の1位に輝いたのは小学生の女の子が考えた「ミルクじゃがパイ」。牛乳で煮たジャガイモをパイシートにくるんで焼いたお菓子だそうです。毎年応募してくる小学生も多く、食育にもつながっています。

昨年はいままでの受賞作品をまとめたレシピ本もつくり、道の駅などで販売も始めました。「白滝じゃが」は遠軽町になった今も町の特産品です。

里山の悩みの種、竹を容器に
こだわりの味「竹姫納豆」

編集部


竹の手触りや重みを生かしたデザイン。
使用後はペン立てや一輪挿し、ロウを入れてキャンドルにも

大阪から
全国の里山ボランティアの手で竹やぶの除伐が行なわれていますが、切った竹の多くは山に放置されたまま。そこで大阪産業大学建築・環境デザイン学科とNPO法人E. D. E. N.は市民に呼びかけて、地元大東市の生駒山麓の里山で体を動かしながら竹の有効活用法を検討する「チクリンチック」を展開してきました。さらに、「地元産にこだわった商品で、大東の知名度を上げたい」という熱い思いをもった小金屋食品社長の吉田恵美子さんと出会い、竹筒を使った納豆の商品化を試みました。

竹の節が底になるように筒状に切って容器とし、イナワラから取り出した納豆菌と煮ダイズを詰めて、発酵室で保温します。実験の結果、竹筒の中で発酵が進むこと、また真竹よりも孟宗竹のほうが水分を多く含むせいか、糸引きがよく、ダイズの味がしっかり伝わることがわかりました。

竹を使ったエコ商品で小金屋食品が女性5人のスタッフであることから「竹姫納豆」とネーミング、パッケージデザインは大阪産業大学の学生が担当しました。2012年6月に発売、2食分(90g)525円とかなり高価ですが、イベントやネット通販、工場直売を中心に、とくに女性客に人気とか。
大阪産業大学の川口将武先生によれば、市民ボランティアも加わり、納豆菌を付着させた竹炭による池の浄化実験も進められているとのことです。

竹姫納豆
http://www.npo-eden.jp/takehime/
小金屋食品
電話072-871-8456

えひめAIも使って
生ゴミ堆肥化実験を進める企業

向井道彦


堆肥の切り返し作業

岡山から
真庭市の有限会社エコライフ商友は浄化槽の保守点検や汚泥の清掃を主な業務としていますが、最近はBDFの精製や生ゴミの資源化など、地域資源の循環にかかわる業務開発に力を入れています。このうち生ゴミの資源化では、市内の同業2社で真庭市一般廃棄物リサイクル事業協同組合として市の「生ごみ資源化促進モデル事業」の指定を受け、堆肥化実験に取り組みました。

担当の山口浩さんに堆肥のつくり方を聞きました。事務所の駐車場の一角に建つ堆肥場に3m×3m×3mほどの区画を3つつくり、熟成が進むにつれて場所を移していきます。2012年は、夏の3カ月間、モデル地区の生ゴミを分別回収しました。各家庭で市から配布された水切りバケツに生ゴミを溜め、集落のゴミステーションに設置した65リットルバケツに各自が移します。その際、消臭・発効促進効果のある、えひめAIを振りかけてもらいます。

組合ではステーションから回収した生ゴミと、剪定枝を破砕し乾燥させたものとを混ぜ合わせ、前年の戻し堆肥を入れ、送風機で曝気します。においがなくなるまで切り返しながら4~5カ月ほど置いたら、できあがり。生ゴミと混ぜる基材は、以前はオガクズでしたが、空気が通りやすい剪定枝を使うようにしました。

堆肥での栽培実験には市内の岡山県立真庭高等学校生物生産科が協力しています。鉢植えの草花に生ゴミ堆肥を施用してもらい、生育にどう影響するか実証中。山口さんはいずれこの堆肥が有機野菜や花の生産・販売の広がりにつながっていくことを期待しています。

有限会社エコライフ商友
電話0867-42-0549

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