このコーナーは、「ゆるがぬ暮らし」「ゆるがぬ地域」づくりに取り組む、全国各地の耳寄りな情報です。webではその中のむら・まち元気便から“ちょっとだけ”公開します。

売れてます。牡鹿半島のシカの角で
つくるアクセサリー「OCICA」

編集部


幾何学模様がきれいなネックレス

宮城から
石巻市牡鹿半島の漁村、牧浜地区でつくられたアクセサリー「OCICA」。輪切りにしたシカの角と漁網の糸でつくるネックレス(1個2800円)とピアス(1組5800円)は、2011年12月の販売開始以来2000個以上を売り上げました。12人の地元のお母さんたちが毎週火曜日と木曜日に集まり、猟友会から買い取った角を加工、ひと月で約300個を生産。商品のデザイン性と背景の物語が注目を集めています。

牧浜地区では東日本大震災でカキの養殖施設や加工施設を含む沿岸部の集落が津波の被害に遭いました。多くの支援もあり養殖は一部で再開したものの、加工施設の再建設は県の指定する拠点漁港が優先。施設でカキ剝きの仕事をしていた多くのお母さんたちはむらで暮らす「役割」を失いました。そんな時に支援のために東京からきていた友廣裕一さんたちが注目したのが、シカの角。もともと牡鹿半島にはシカが多く、地元の猟友会によって毎年1000頭ものシカが駆除されていましたが、利用されていたのは業者が加工・販売する肉の一部だけ。角は本来、水難・海難除けのお守りの意味もあり、お母さんの役割づくりにももってこいの資源だったのです。

友廣さんたちが立ち上げた「一般社団法人つむぎや」を通して、県内外の雑貨店や飲食店、インターネットなどで販売。ネックレスの場合、1個売れるごとに1000円がお母さんたちの手に渡ります。角の加工が軌道に乗ってきたいま、次は皮の加工にも取り組む予定だそうです。

OCICA
http://www.ocica.jp/

生産者の似顔絵を貼ったら
無人直売所の集金率がアップ!

柳島かなた


1人1ブースに区切ったことで、ブースごとに個性も出る。
たしかに似顔絵のインパクトは大きい

鹿児島から
姶良市北山地区の宮脇公民館前には地域のお年寄りが楽しく野菜づくりができるようにと、2002年に100円均一の無人直売所「若宮ふれあい市場」がつくられました。出荷者は17名、当番制は負担になるということで、1人1ブースに区切り、集金箱もそれぞれのブースに設置しました。

思った通り、お年寄りたちが張り合いを持って野菜をつくるようになり大好評。しかしひとつ問題だったのが、集金。心無い人がお金を支払わなかったり、1円玉や10円玉が入っているなんてこともありました。

そこで、直売所をつくった北山校区地域コミュニティ協議会の会長・肥後利治さんが考えたのは似顔絵を貼ること。プロの画家に頼んで描いてもらった油絵は1枚5000円。いったん公民館が支払い、生産者は売り上げから少しずつ公民館に支払っています。油絵なので2009年に設置して以来、まったく劣化していないのが自慢です。

生産者の似顔絵が、それぞれのブースで買いに来る人を見ています。似顔絵を前にすると、「誰も見ていないから盗んでも大丈夫」とか「お金を誤魔化してしまおう」という気持ちがなくなるのか、この絵を貼るようになってから集金率がぐんと上がりました。

さらに肥後さん曰く「ポイントは似ていないこと」。わざと微妙に似せずに書いてもらった(?)似顔絵は集落内でも「これが○○さん? いや□□さんかな?」とたいへん話題になったそうです。

北山校区地域コミュニティ協議会
電話0995-68-0337

自分たちで管理できる
1戸負担5万円の緩速濾過装置

編集部


1つの濾過槽で1日2tの水を浄化できる。右側が粗濾過用の槽

大分から
大分県の水道普及率は90・2%、約10万人が水道のない地域で暮らしています。

豊後高田市の黒土地区(人口約200人)もそんな地域のひとつ。良質な水源がなく、水量のある地下水は鉄やマンガンを多く含むので用途が限られてしまいます。高齢世帯も多く、年金暮らしでお金もかけられません。そこでNPOおおいたの水と生活を考える会(大分市)が提案したのが、比較的安価な小規模飲料水供給施設・緩速濾過装置の設置です。

緩速濾過装置は森の土壌が水を浄化するしくみを人工的につくったもので、化学薬品ではなく微生物の力で水を浄化するので、住民が自ら管理できるのも特徴です。

黒土地区では2011年4月に、1日に10t浄化できる装置を設置しました。費用は全部で700万円でしたが、県の「地域給水施設整備支援事業」や市の事業を活用し、1戸あたりの負担は5万円ですみました。一般的な上水道整備だと小規模でも何千万円もかかり、行政もなかなか動いてくれないのですが、安価なのでうまくことが運びました。

緩速濾過は3段階に分かれます。まずは地下水を空気に触れさせることで鉄やマンガンを酸化・除去しやすくします。次に砂利で粗濾過。ここで大きなゴミなどを除去します。本濾過では砂の上に形成された微生物の層をゆっくり通過させ、きれいな水の出来上がり。ちなみに管理は汚れがたまった砂の表面を削ったり、時々砂を補ったりする程度だそうです。

NPOおおいたの水と生活を考える会
電話097-574-8933

仲介手数料無料でパートを派遣
「グリーンサポーター制度」

岩越敬博


ミニトマトのハウスで収穫を手伝うサポーターの若い女性

北海道から
北海道農業=大規模というイメージがあるが、北海道の中にはそうでない地域もある。札幌市まで車で30分の石狩市では、宅地化が進み農地は減少、とても十勝型の大規模農業のマネはできない。

そこでJAいしかりでは1990年代ころからニンジンやダイコンといった土地利用型の品目からサヤエンドウやブロッコリーへの転換をすすめてきた。これらは高齢者でも栽培可能であるし、大きな農機具もいらないのでコストがかからない。

ただし、収穫期に人手が必要なのはデメリットだ。そこで2001年に立ち上げたのがグリーンサポーター制度。仲介手数料無料でJAがパートを派遣する。現在パートとして登録しているのは約300人、この制度を利用する農家は60戸以上。多い家では1日に10人以上のパートを雇用するが、これだけの人手を用意できるのは都市近郊だからこそ。

パートに登録するのは、農業に関心はあるけど農地やノウハウがない定年退職後の男性や、子供が学校に行っている間に働きたい若いお母さんなど。農家のほうも業者に頼むと時給1200円前後かかるが、この制度なら800円ほどで済む。

この制度を立ち上げた営農企画課の担当者は「この制度がなかったら作目転換がスムーズにできなかった。農家が農業を継続できるよう手助けするのは農協の仕事だ」。最近では新規就農でミニトマトを栽培する農家にも活用されているそうだ。

JAいしかり
電話0133-66-3321

駅はまちの顔! JRのOBを
町が雇用して無人化阻止

岩瀬彰人


今年4月1日の切符販売業務の開始式の様子。
町長や議員、利用客などが出席。合言葉は「JRの駅からみんなの駅へ」

長野から
〝ふたつのアルプスが見えるまち〟飯島町には5つの駅があります。このうち駅員が常駐していたのは飯島駅のみでしたが、2013年4月、鉄道会社(JR東海)の「合理化」でついに無人化してしまいました。

「飯島駅は町の玄関口としての役割をはじめ、通学する子どもたちの定期券購入など重要な役割を果たしている。突然、無人化すると言われて『はい、そうですか』というわけにはいかない」と高坂宗昭町長。

そこで飯島町とお隣の駒ヶ根市で協力し、JRのOBを雇用。無人化を阻止しました。現在、地元のJR退職者7人を、シルバー人材センターを通して雇用し、飯島駅と駒ヶ根駅に配置しています。駅員の仕事は路線を熟知していなければいけないなど専門知識が必要で、JRのOBでないと務まりません。7人はローテーションで毎日、午前8時から17時まで駐在します。「これをきっかけに駅は町のものとして、地域おこしに取り組みたい。今度、駅の利活用と活性化にむけて組織を立ち上げる。リニアも通るしね」と意欲的な町長。

さっそく駅舎はギャラリーとしても使われるようになり、地元住民の写真などが展示されています。駅はまちの顔。無人駅が増える中、駅も地域で存続させる時代なのかもしれません。

飯島町役場
電話0265-86-3111

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