もともと書店がなかった木城町にできた児童書と絵本の専門店が「森のほんやさん」。1996年に町が建設した文化施設「木城えほんの郷」内にあり、施設を指定管理する「みどりのゆりかご協会」が書店を経営している。

 店長の宮田香子さん(56歳)は、子育ての経験をもとに絵本の勉強を続けてきた方。自分のアンテナで選書し、仕入れた本はほとんど目を通すという。ブックアドバイザーとしてのセレクト力が認められ、遠くの小中学校の図書室の選書も頼まれる。

 宮田さんの絵本への思いはとても熱い。

「子どもの枕元に絵本を届け、読んであげるのは大人の役割です。いまはスマホでも絵本の内容がドラマ仕立てになったアプリが出回っていますが、1対1で、生きている人から生きた言葉で伝えるところに、絵本の楽しみ、喜びがある。デジタル時代だからこそ、それが大切なのでは」という。

「えほんの郷」では絵本の原画展のほか、夏の「里山むしむし合宿」、秋の「星の夜の音楽祭」、冬の「くらやみ探検隊」など、子どもが自然を直接体験するイベントを四季折々に行なっている。「サワガニや魚やヘビを捕るのが楽しかった」「まっくらな森の中で耳をすましていると、いろんな音が聞こえてきた」と、子どもたち。この場所だからこそできる体験だろう。

豊かな森を背景とした店内には、選び抜かれた絵本や児童書が6000点以上並ぶ。とくに昆虫、動物、植物など自然関係のスペースが充実

「ここには何もないから、子どもたちも最初は退屈で何していいかわからない感じだけど、耳を澄ましてみたり、目を凝らしてみたりしているうちに、今まで見ていてもなんとも思わなかったもの、小さな生き物たちの命や手触りを感じていく」のだそうだ。

 蝶がくる植物を植えて「蝶道」をつくったり、昨年からは田んぼを始めたり、活動の幅も広がっている。版画家でもある「えほんの郷」の黒木郁朝館長は「人間が人間らしく育つためには、沈む夕日と昇る朝日を見んといかん」と、よくいうそうだが、「ゆったりとした、ひとかたまりの時間のなかで見えてくるものがある」と宮田さん。

 絵本も一緒だと感じた。

木城えほんの郷 森のほんやさん
〒884-0104 宮崎県児湯郡木城町石河内475
電話0983-39-1182
http://e-sato.info/

文=農文協九州沖縄支部 宮脇健太朗

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