このコーナーは、「ゆるがぬ暮らし」「ゆるがぬ地域」づくりに取り組む、全国各地の耳寄りな情報です。webではその中のむら・まち元気便から“ちょっとだけ”公開します。

お見事!薪アートはここまで来た

編集部


高さ2m、幅2.9mの薪ドラえもん


子どもに人気の薪アンパンマンと薪トトロ

京都から
 京丹後市大宮町の国道312号線沿いには、立ち止まって写真を撮りたくなる薪棚があります。

 本誌12号の表紙「薪トトロ」に触発されたという、㈱マルキ建設の石田素浩さんは、いろんな樹種の薪を積んでドラえもんやアンパンマンを表現してみました。 

 イラストのイメージを参考に、30㎝くらい積んだら少し離れて全体のバランスを見て修正。半日がかりで完成したそうです。

 ポイントはイラストの輪郭が遠目にもわかるように、木断面の色の違いを利用して濃淡をつけること。ドラえもん(写真)の頭は、雨にあたって黒ずんだシイの薪、顔は白い断面が特徴のシデを使うことで輪郭をハッキリさせました。目とヒゲはナラ、赤い鼻はサクラ、黄色の鈴はクリなど全部で7種類の雑木が使われています。

 ちなみに㈱マルキ建設が薪販売を始めたのは2011年。採石場の社有林や地元の区有林の整備のときに出る雑木を薪にしてコンテナ(ナラ20㎏で1200円)で販売しています。普段は樹種で棚を分けているので、薪アートは組み合わせるだけ。今年はどんな作品が生まれるのか楽しみです。

株式会社マルキ建設
電話0772-64-2377
http://www.kk-maruki.co.jp/

大人気!アルパカ牧場、経営のやり方

藤谷拓馬


なんともいえない表情が幅広い世代に人気のアルパカたち

新潟から
 長岡市旧山古志村には油夫集落と種苧原集落の2カ所にアルパカ牧場があり、多い日には500人もの人が来る観光地になっている。経営する㈱山古志アルパカ村の代表・青木勝さんは元役場職員。中越地震の際、アメリカでアルパカ牧場を経営する日本人が「山古志にアルパカを送りたい」と3頭寄贈してくれたのをきっかけに立ち上げた会社だ。正社員3名。輸入したり繁殖させたりでアルパカは今、約50頭に増えた。

 動物園や農家レストランなどに販売もするが、1頭100万円以上はするので、レンタルのほうが需要は多い。現在も20頭を動物園などに月に3万円ほど(保険料含む)で貸している。結婚式やイベントなどに貸す際は、長岡市内なら2頭セットで1日約5万円だ。

 ここのアルパカはすべてアメリカの専門機関に血液を送り、DNA鑑定して血統書をもらっている。販売やレンタルでの信用度が増すだけでなく、山古志で繁殖させる際、近親交配を避けて丈夫な個体を育てるのが目的だそうだ。毛製品を販売するときのアピールにもなる。

 アルパカたちの世話は各集落の高齢者でつくった飼育組合が担う。地元には牛を飼い慣れた動物好きな人が多く、アルパカを孫のようにかわいがって生きがいにしている。エサ代など経費は全額会社負担だが、組合は世話料はもらわず、主な収入は牧場に設置した募金箱。牧場は入場無料なので、「申し訳ないから」と入れてくれる人が多く、結構儲かるそうだ。

㈱山古志アルパカ村
電話0258-59-2062

不在が多い役職父ちゃんの営農術
使うのはメモと電話

堀川奈津


出かける予定と作業の指示が書かれたメモ。
出かける前に家族の「いつものところ」においておく

栃木から
 作業の担い手の父ちゃんが家を2日空けると言ったら家族はどんな顔をしますか。研修、視察、会合などちゃんと理由はあっても、家族から「その穴埋めを誰がすると思っているの」と嫌な顔をされがちですよね。

 全国農協青年組織協議会副会長で、日本中を飛び回る益子丈弘さんが家にいるのは年間の3分の1程度。月曜日から金曜日までずっと不在という週も珍しくありません。どうやって営農しているのか気になって聞いてみると、その秘密は出かける前のメモと電話。

 メモには「明日の天気がよかったらこう、悪かったらこう」というふうに2通り書いておきます。そして不在の日はいつも決まった時間に家の固定電話に電話して、その日の作業状況を聞き、明日の作業を伝えます。電話の時間を決めておくと、家族も聞きたいことをそれまでにまとめておいてくれます。ついでに、子どもの体調やおみやげのリクエストなんかも話してくれるそうです。時間はたいてい18時ですが、会議の予定によっても変わるので、メモに「○時からの会議後に電話、○時ごろ」と残しておくそうです。

 保育園に勤める奥さんの代わりに、家で電話に出るのは決まってお母さん。まるで秘書のように、益子さんがいつ、どこで、何の会議に出るのかをすべて把握しています。農作業の段取りについても、益子さんの予定と合わせて考えています。「丈弘が先週留守の時はハウスナスのホルモン処理が間に合わないのでハウス全開にしてハチでの受粉だったが、今週は丈弘がいるからハウス閉めてホルモン処理でき、果形がよくなるはず」と嬉しそうに話してくれました。

ふるさと納税1500万円のうち
700万円を直売所&漁師へ

向井道彦


旬の野菜や加工品が年4回届くコースも人気

高知から
 奈半利町役場の町長室。「これが今の楽しみ。普通に考えたら納税だが、ワシは町の産物が売れた!と思う」と、齋藤一孝町長が嬉しそうにポンポンとハンコをついているのは、「ふるさと納税」の書類。現在納税者は1140人、もう少しで2000万円を突破しそうです。

 2万円以上の納税者には1万5000円相当の町内の産物を送っています。送る米や海産物、加工品などは、第3セクターが運営する町の直売所や漁師から町が購入。昨年度は1500万円の納税額のうち、700万円近くが直売所や漁師の売り上げになりました。特に25㎏もらえる米が人気で、今年度分はもう品切れだそうです。

 自分で組み合わせを選べる産品も評判です。冷凍のスルメイカや金目鯛の炊き込みご飯が入った「漁師のおかみさんセット」や「清流奈半利川で育った天然アユセット」などいろいろあり、毎年納税しても飽きません。昨年度初めて企画したお得な福袋は中身がわからない代わりに1万7000円相当が入っていてとても好評でした。

 担当者は、納税者にPRする係の総務課・柏木雄太さんと生産者や品物を探して企画する係の地域振興課・濱田真理さん。違う課ですが、商品開発ではタッグを組んで「あるもの探し」をしています。

 来年度は納税者を地域に呼ぶイベントも企画中。地域のために税を納めると、おいしい見返りもあるとってもお得な「ふるさと納税」。もっといろんな人に知ってほしいと思いました。

奈半利町役場総務課
電話0887-38-4011

市内19校6000人分の学校給食で
米・小麦・大豆の全量地元産を実現!!

岩越敬博


子どもたちと農家の交流も企画。残飯も減ってきているそうだ

北海道から
 岩見沢市の学校給食共同調理所では19校6000人分の学校給食をつくっている。そこへ2001年に異動してきた栄養士の三好明子さん。残飯の量に驚いて、地元産学校給食に切り替える取り組みを始めた。それまで自校式の学校に勤めていて残飯はほとんど出ないのが当たり前だったので
「子どもたちが給食を残すのは、生産者や調理師などのつくり手が見えないからだ」と思ったのだ。

 毎日、確実に一定量が必要な学校給食。ふつう食材は「学校給食会」という都道府県単位の組織が安定供給という名目で食品を卸している。地元産に切り替えるのはこの組織から外れることになり「不作だろうが値段が高騰しようが自力で安定供給しなくてはいけない」というリスクが伴う。

 三好さんがまず協力を仰いだのは、JAいわみざわの米穀課と岩見沢市役所の農務課。農協には米・小麦・大豆を中心に、食材を学校給食用に供給してくれるようお願いし、役場には子どもたちの見学や農業体験を受け入れてくれる農家を紹介してもらった。どちらも快諾してくれた。

 パン用小麦は江別製粉㈱が1t単位で製粉、地元の㈱空知菓子舗でパンにする。地元小麦のキタノカオリに切り替え、アレルギーの子のために卵の使用もやめた。分量調整が難しく、1年ほど試行錯誤したそうだ。空知菓子舗では、これをきっかけに自社商品の原料も一部地元産に切り替えている。

 現在、給食で使用する米(ななつぼし)80t、小麦(キタノカオリときたほなみ)40t、大豆2・6tは全量が岩見沢産。このような活動は各地に広まり、北海道学校給食会も地元産を供給する体制に変わりつつあるそうだ。

岩見沢市学校給食共同調理所
電話0126-22-4008

八百屋さんが有機野菜でつくった
「たりとっとカレー」が大人気

岩瀬彰人


たりとっとカレーは通販もしている。200g(うち野菜は160g)で315円

熊本から
「全国の八百屋が小麦粉なしのカレーをつくったらいいのに」と語るのは熊本市植木町の八百屋さん「地産倶楽部」の女社長・角田真智子さん。八百屋に6席の小さなスペースを設けて「たりとっとカレー」を出しています。「たりとっと」は熊本弁。「(野菜)足りてますか?」と「足りてますよ」の思いを込めています。

 このカレーには、常時15種類以上の旬の野菜が入っていて、約20種類のスパイスやハーブと一緒に1週間以上煮込んであります。これだけじっくりと煮込むと小麦粉なしでも十分とろみが出るそうです。肉を使っていないのでとっても低カロリー、保存料や化学調味料も一切使っていません。

 お店は11時から14時のランチのみの営業で、ルーとご飯(玄米と雑穀ご飯)は食べ放題、5種類の惣菜もついて値段はなんと500円。カレーのおかげで野菜のロスも普通の八百屋の半分、ルーは冷凍でも販売していて、バーコードでそのとき使った野菜の生産者がわかるようにしているそう。こぢんまりしたお店ですが、県内外からお客さんが来るほど人気です。

 つくることになったきっかけは、10年前に有機野菜の宅配を始めたこと。熊本市のお客さんを中心に宅配をしていましたが、見栄えの悪い有機野菜には苦情がたびたびありました。売れ残りは処分していましたが、生産者の畑に足繁く通って、農家の苦労を知っていた真智子さんは「なんとかこの野菜を利用したい!」と考え、試行錯誤の末にできあがったのが「たりとっとカレー」なのです。

 植木町に来たときは名産のスイカだけでなくカレーも食べてください。僕もまた食べに行きます。

地産倶楽部
電話096-273-0661
http://www.chisanclub.com/

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