このコーナーは、「ゆるがぬ暮らし」「ゆるがぬ地域」づくりに取り組む、全国各地の耳寄りな情報です。webではその中のむら・まち元気便から“ちょっとだけ”公開します。

商店街の食堂兼八百屋
「量り売り」が高齢者に大人気

編集部


本日の日替わり定食はサバの竜田揚げ。これで650円とは安い!


看板娘の白寿美さん(左)と小原佐世さん

香川から 出張先でのランチは楽しみのひとつ。せっかくなら地元の個性的な店を探したくなるものだ。

 今回、高松市の南新町商店街で見つけたのは「大日本社員食堂」。スゴイ名前だと思ったら、入口横にはこれまた「八百屋 百姓一揆」という農産物直売コーナー。

 5年前の開店以来、食堂では減農薬・無化学肥料栽培に取り組む近隣農家15軒の食材を使ってきたが、毎回少し多めに仕入れて百姓一揆で販売している。農家ごとに60㎝四方の棚を設けて並べたところ、お目当ての野菜を求めて足しげく通うファンも増えた。

 人気の秘訣は野菜の量り売り。ミディトマトが100gで150円、コマツナ130円、ゴボウ90円、ニンジン60円という具合で、お客さんは、自分で秤りに載せて必要な分だけ買うことができる。

「この界隈は二人暮らしの老夫婦が多くてね。余って腐らせるのはもったいない。ちょこちょこ買えるこの量り売りがとても便利なんよ」と馴染みの客も口をそろえる。

 店長の白寿美さん曰く「百姓一揆で売れ残った野菜は食堂の買い取り。惣菜にも使えるのでロスがない」。農家と食堂のコラボが街中の商店街を活気づけていた。

大日本社員食堂・百姓一揆
電話087‐862‐4660

年々変化発展するむらのまつり
全日本どろんこそりレース

橋本康範


若い女性も参加。おもりは女性1人につきマイナス10kg

宮城から 「全日本どろんこそりレース大会in荻埣」とは、美里町の荻埣集落の田んぼで毎年8月の第1日曜日に行なわれているそりレース大会。そりにはバラした一輪車の「フネ」を使い、そこにロープを付けて田んぼの泥の中を引き、速さを競う。

 参加は2人一組、土嚢のおもりを載せたそりを2人で引く。「一般の部」はおもり40㎏、「小学生の部」はおもり20㎏で、「親子の部」は親子のどちらかがそりに乗りもう1人が引く。レースの会場となる1反歩の田んぼ内をU字に約40~50m走る。その他に、田んぼにつくった一本橋を自転車で走るレースと小学生以下が田んぼの中をダッシュするレースもある。

 昨年は県内外から約100人の参加があり、観客は200人を超えた。町長も参加し、親子の部で孫を乗せて全力疾走、「親子じゃない」と物議を醸したとか。とにかく年々盛んになってきている。

 もともとこの大会が生まれた背景には地区の盆踊りがあった。「開催がお盆と重なる盆踊りだと、よそから嫁いで来ている母ちゃんたちが帰省もできずかわいそうだ」「しかし、地域の集まりはなくしたくはない」との思いから自治会青年部「荻埣新友会」(25人)が中心となって考えたのが、この「全日本どろんこそりレース大会」なのだ。新友会は週1回ペースで、集会所で飲み会を開き知恵を絞る。毎年何か新しいことをするのが決まりなので、「今年はのぼりを立てて協賛を募ろう」「自転車用の一本橋を強化しよう」と少しずつ変化発展している。

 第6回の今年は8月3日に開催、もちろん雨天決行。

どろんこ大会事務局
電話080‐3143‐9497

46戸がネオニコの空中散布をやめた
ミツバチの里づくり

内田茉里


オーナーを呼んだ田植え体験の様子

茨城から  笠間市上郷地区は、三方を山に囲まれた水田地帯。もともとホタルの里として知られるこの地域、新たにミツバチの里づくりが動き始めています。中心となっているのは「いこまらいすせんたあ」の生駒敏文さん。上郷で95戸の農家が参加する「うまい米づくり研究会」の代表を務めています。

 日本ではネオニコチノイド系(以下、ネオニコ系)の殺虫剤が、カメムシ防除や苗箱施用剤として使われています。しかし近年それらが田んぼの生態系を破壊し、赤トンボやミツバチを激減させているといわれています。

 生駒さん自身は以前から、ネオニコ系農薬は一切使用してきませんでしたが、2011年に県の「茨城みつばちの里づくり協議会」の副会長になったのを機に、研究会仲間にも、環境に配慮した米づくりをしようと呼びかけました。

 2013年には、米農家46戸がそれまで行なっていたネオニコ系農薬の「アミスターアクタラSC」の空中散布をやめました。どうしても空中散布をしたいという農家にもネオニコ系でない「アミスタートレボンSE」を使用してもらうようお願いしました。

 また今年から、県の事業の一環で生駒さんの田んぼで「みつばちの里田んぼオーナー制度」も始まりました。一口1万円で募ったオーナーと一緒に「日本晴」を栽培、生きもの調査も行ないます。地元の酒蔵がそのお米で日本酒をつくり、オーナーは一口につき純米酒4合瓶6本がもらえます。

「環境に配慮したお米を買ってくれる消費者のファンを育てたい」と生駒さん。自分でも近所の養蜂家に教えてもらいながら2群の日本ミツバチを飼育。家族のように大切にしているそうです。

いこまらいすせんたあ
電話0299‐45‐2493

直売所が外へ営業
こだわり野菜で需要をつかむ

伊藤照手


取引をはじめた東京の会社のバイヤーが湯島大根の畑を視察

熊本から  上天草市の海沿いにある「上天草物産館さんぱーる」は地元農家の新鮮な野菜や漁師の鮮魚が自慢の直売所。施設内にはレストランやお土産屋も併設し、観光客にも多く利用されている。売り上げは年間7億円と順調そうだが、何川嘉一支配人によると「お客の7割が観光客で固定客が少ない」のが悩みだそう。

 そこで売り上げを安定させて生産者手取りを確保しようと設けているのが営業部門。飲食店やホテルなど小さな需要を狙って、地元のほか東京や大阪にも販路を広げている。

 最近取引を始めたのは、野菜の小口宅配をする東京の会社。12月から2月いっぱいまで収穫できる伝統野菜「湯島大根」を1本250円、1シーズンに約900本販売した。

 他にこだわりの野菜を販売する関西の店にも出荷。こちらには「にんじんからいも」(ニンジン色のサツマイモ)や「大矢野の白オクラ」(大矢野地区の伝統野菜)、シロニガウリなどの珍しい野菜が人気だ。

 何川さんはこういった取引先の需要に合わせて、農家に栽培のポイントも伝えている。県の普及所の人と一緒に農家の圃場を回って、それぞれの品目について減農薬のコツなども教えるそうだ。

 直売所がここまでやるのかと驚いたが、「待っているだけではだめ、いろいろ仕掛けていかないと」と何川さん。農家の手取り確保が1番の目的なので、値下げは一切ない。また、どこに販売しても15%の手数料は変えていない。

パライゾ上天草株式会社(上天草物産館 さんぱーる) 
電話0964‐58‐5600

60歳からのシェアハウス
自給自足の「緒川生涯現役計画」

樋口維史


本館食堂にて野草料理教室を開催

茨城から  埼玉での会社経営を引退し、常陸大宮市旧緒川村にIターンした引場昭仁さんは、非営利型一般社団法人「緒川生涯現役計画」を立ち上げ、昨年高齢者用のシェアハウスを開設、入居者を募集中だ。対象はおもに60歳以上のリタイア組。地域の耕作放棄地などを借り入れ、共同で自給自足暮らしができる。近隣のお年寄りの買い物支援や墓掃除など、地域貢献活動もしていく。

「どんな高齢者でも老人ホームに閉じ込めておくのは家族の負担金が大きいだけでなく、本人にとっても不健康。元気な人はしっかり働きながら、生涯現役をモットーに農村生活を楽しんでもらいたい」と開設を思いついた。「夢の田舎暮らしも、仲間とシェアして取り組めばハードルが低くなる」。

 施設は食堂や8つの居住スペースなどからなり、手づくりの大型薪ストーブを設置。床下には特殊な潜在蓄熱材を入れて温度管理しているので快適だ。生産した野菜などは引場さんの知り合いのスーパーで販売したい考えだ。

 地域活性化の拠点にもするべく、すでにボーイスカウトなどを呼んでネイチャーゲームをしたり、近隣の農家と共同で野草採りハイキングや野草料理教室を開き、子どもたちや大人の体験交流の場にもなっている。入居者には若い新規就農希望者も受け入れる予定。若者が2~3年ここに住んで田畑を借り、農家に教わりながら農業研修し、その間に空き家をみつけるなどに使ってもらうのもよい。今後希望者が増えれば、居住スペースも増やしていく。

非営利型一般社団法人 緒川生涯現役計画
電話0295‐54‐3122

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