札幌から車で3時間、浦河町(1万3000人)に六畳書房はある。「その名のとおり店舗は6畳。日本一小さい本屋です」と言うのは、発起人兼店番の武藤拓也さん。札幌出身で浦河町「地域おこし協力隊」の2年を経て定住。今春からは町議を務める。
武藤さんが昨年11月に書店を開いたのは、地元からの要望がきっかけだった。2012年に町で唯一の書店が廃業して以来、苫小牧市まで車で片道2時間かけなければ本屋がなかった。
また、親交があった札幌のくすみ書房(現在は廃業)の久住社長から、開業資金を寄付で集め、みんなでつくる「コミュニティ本屋」の形態をすすめられたことにも背中を押された。
店舗は協力隊のころから借りている古民家(多目的コミュニティスペース「かぜて」)の一室を利用したので出店コストはゼロ。本を仕入れる資金は、「一口店長」で町内外に募集した。
これは1口5000円(最大3口まで)の寄付で「店長」になると、オススメ本1冊を武藤さんに仕入れてもらうことができ、ハガキサイズの自作のポップ(紹介文)とともに店に並べられるしくみだ。オススメ本が売れたら同じ本を補充。7〜8掛けで仕入れ(買い取り)、売り上げは全額、次の仕入れにまわす。
「一口店長のオススメは売れ筋本とは限りません。何度も読んで思い入れのある本、地元の子供たちに読ませたい本など、ここはみんなが選んだ本で育つ本屋。店長の趣味で意外な本に出会えることがお客さんの楽しみにもなっています」

店内には一口店長のオススメ本以外にも、武藤さんが仕入れた本を含め約800冊が並ぶ。ポップを見て本を手にとる人が多く、一日に2万〜3万円ほどの売り上げになる

畳に寝転がりながら本を選ぶ親子や、孫に贈る絵本選びを手伝ってほしいというお年寄りなど、じっくりと本を見ていく人が多い。
六畳書房が目指すのは、地域に「あり続ける」こと。
ボランティアだから負担にならないよう、営業は週1回(月曜日)にした。翌日、武藤さんが売れた本を数えて発注や仕入れの振り込みなど、半日事務作業をする。
「あくまで店長は出資者のみなさん。僕は店番です」。いまや一口店長は町外を合わせると100人を超え、60万円ほどが集まった。

多目的コミュニティスペース「かぜて」の一室を使った6畳1間の本屋さん。営業は月曜日13〜22時のみ

六畳書房

〒057-0034 北海道浦河郡浦河町堺町西4-4-40

公式サイト http://kazete-urakawa.tumblr.com/

文=農文協北海道支部 安藤啓太

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