山形県鶴岡市には「だがしや楽校」という、大人も子供も楽しめる学校?があるらしい。代表を務める阿部久書店の阿部等社長にうかがった。
「いえいえ、学校じゃなく楽校(笑)。最近、子供たちが親や先生以外の大人と関わる機会が減っていますよね。私が子供のころは、地元の駄菓子屋でヨソの子と群れて遊んだり、店のおばちゃんに買い物で算数を教わったものです。そんな『遊びと学びの社交場』をつくろうと思いました」
 といっても、駄菓子屋を復活させるのではない。割りばし鉄砲やベーゴマ、紙芝居など、昔遊びを知っている大人たちがイベントに出店し、子供たちに楽しんでもらうしかけのようだ。

だがしや楽校・子ども部のブース。大人に頼んで問屋から仕入れた駄菓子に、自分たちで値段をつけて販売することも

 始まりは10年ほど前、若い店主たちと地元・山王商店街の活性化に取り組んでいたときのことだ。阿部さんは子供向け企画の担当だったが、ちょっとネタ切れかなと思っていたとき、偶然、店に『駄菓子屋楽校 小さな店の大きな話・子どもがひらく未来学』(松田道雄著)が配本されてきた。
 一読して「駄菓子屋のような空間が世代間交流の場になる」と確信。すぐに著者の松田さん(現・東北芸術工科大学教授)を訪ねたそうだ。
 2004年には任意団体「だがしや楽校だがしや倶楽部」を設立。市内の幼稚園教諭のOBや店主など昔遊びの特技をもつメンバーが毎週土曜日、コミュニティスペースや公民館などでだがしや楽校を開校する。今では他地域からも依頼が来るほどの人気ぶりだ。
 活動費は県などの助成金から捻出。テントなどは商店街の備品、工作の材料は廃品を再利用するので、おカネはほとんどかからない。
 昨年は地元の子供たちと「だがしや楽校・子ども部」も発足。自分たちで手づくりしたアクセサリーや小物に値段をつけて販売する小商い体験にも発展してきた。
「だがしや楽校をやりたいという地域も増えてきたので、プログラムづくりやよろず相談の支援も始めました。ヒト・モノ・コトの情報拠点として地元書店が果たす役割は大きいですよ」と阿部さんは燃えている。

創業明治20年。伝承伝説、山岳信仰など東北の民俗・文化を伝える書籍や資料は2万冊以上。希少な古書類も扱っている

阿部久書店

〒997-0028山形県鶴岡市山王町8-21
☎0235-22-0220
営業時間9:30〜19:00(定休日なし)

文=農文協東北支部 水野隆史

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