コンセプトは「本屋が地域の文化を育む、地域の読者が本屋を育てる」。今や街中でさえ廃業が相次ぐなか、昨秋、書店空白地の那須高原に那須ブックセンターがオープンした。一見ふつうの店内だが、地元の人が発信する「地元掲示板」が目に入ってくる。コンサートや趣味の集いなど、地元感たっぷりの案内チラシが置いてある。
 この辺りは町の図書館も「移動図書館」で、限られた日でないと利用できない。そのため、手元に置きたい本やじっくり読みたい本を求めて、住民が次々に店にやってくる。そんなお客さんとじっくり話をする谷店長は、「近くに本屋がなかっただけで、本好きな人たちはたくさんいる」と、外商にも力を入れる。地域の人たちが集まる場所に出向くことで、読書ニーズをつかむためだ。

出版社や書店関係者の有志でつくる「書店と本の文化を拡める会」が出資し、2017年に開業。標高500mにある店舗は、元コンビニを改装した

 旧朝日小学校の跡地で活動する「那須まちづくり広場」もその一つ。健康教室や映像教室など、生涯学習に関する「楽校」講座に関わることで、講座に必要な本の注文をとってくる。
 また、外商で「2月の図書館の園芸講座に行きたかったが、遠くてね」という声を聞けば「だったら、うちでやりましょう」と、翌月には図書館と同じく農文協の私が講師を務める園芸講座を開催した。参加者は、主婦や定年で移住してきた夫婦、家庭菜園愛好家、若手Uターン農家など15人ほど。土寄せがいらないサトイモの逆さ植えやダイコン1穴2本植えなど、「野菜づくりのコツと裏ワザ」が好評で、本もよく売れた。
 最近では、住民有志が「那須ブックセンターを応援する仲間たち」を結成。イベントの手伝いや月1回のお茶飲み会(企画会議)など、書店を盛り上げている。

酪農家も多い土地柄、農業・園芸書フェアは人気。外商のとき、イノシシに畑を荒らされて困っているという話を聞いて始めた、狩猟や獣害対策コーナーは、常設となった

那須ブックセンター
〒325-0302 栃木県那須町高久丙2-39
TEL0287-78-2000
営業時間9:30〜18:30(偶数月の第2水曜日が定休日)

文=農文協関東甲信越支部 鈴木 稔

コメントは受け付けていません。