書店が公共図書を納品する際は、本が汚れないようにフィルムコーティング(装備)する場合が多いが、大手書店では装備代を取らないところが増えている。「小さい書店は人手がないので、身内に作業を手伝ってもらったり、専門業者に1冊100〜150円で委託します。装備代の自己負担は大きい」と言うのは、ありさわ商会社長の有澤公平さんだ。
 幕別町では、町立図書館と五つの中学校図書室への納品本は装備が必須。5年前に納品を始めた有澤さんは、装備の負担に悩んでいた。そんなとき、図書館の館長から「町内の障害者福祉作業所(就労継続支援B型施設)に委託してみたら」と提案された。「外の業者に頼むより、地元の仕事づくりにもなる」と、さっそく年間4000〜5000冊の装備作業の一部を頼むことにした。

本の装備作業をする福祉作業所の利用者。定規をあて、本のサイズにあったフィルムを切り出す

 作業にあたるのは4〜8人。当初はフィルムを張るときに気泡が入ったり、衣服の毛が付着したり、月に数十冊こなすのがやっとだった(残りは業者に委託)。そこで、委託先の福祉作業所をもう一つ追加。互いに切磋琢磨することで効率がぐんと上がり、今では月400〜500冊の装備ができるようになった。「一番上手な人は、その後、事務職で一般就労してうれしかった」と有澤さん。
 町立図書館もこの取り組みを応援しようと、フィルム代や工賃を負担してくれるようになった。ありさわ商会では装備の委託がきっかけとなり、カレンダーの封入や贈答用ボールペンの箱詰めなど、店内の作業の一部も福祉作業所に委託。作業所側は、備品の文具や事務用品をありさわ商会から購入している。書店と福祉作業所の連携。地方書店存続のためにも各地に広がってほしい。

創業は1963年。書籍や雑誌のほか、文具・事務用品なども扱っている

ありさわ商会
〒089-0604 北海道中川郡幕別町錦町13-4
TEL0155-54-2554
営業時間9:00〜19:00(日曜日、祝祭日が定休日)

文=農文協北海道支部 高橋明裕

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