絵本好きが高じて、自宅の1階を絵本専門店にしてしまったというのが、店主の都築照代さん。今年4月15日でオープン3周年を迎える。夫婦ともに愛知県の出身で、転勤族の夫について全国を転々としながら、公共・小学校・大学図書館などで司書を務めてきた経歴を持つ。
 扉を開けると、大きな木製のテーブルを囲むように季節の絵本が並べられている。ロングセラーから新刊まで約1500冊。バックヤードを含めると在庫は数えきれない。絵本が見やすく、取り出しやすいように書架の角度や深さにもこだわった。
 都築さんが昨年から取り組んでいるのは、月1回の「大人ためのえほん夜会」だ。「絵本は簡潔な文と絵で、自由に発想を膨らますことができる。忙しい大人たちの癒しの場になれば」と、閉店後の19〜20時半に開く。参加費は1500円。フェイスブックやチラシを見た20〜60代が、毎回15人前後集まる。

えほん夜会の様子。都築さんお手製のお菓子や紅茶を楽しみながら、大好きな絵本について語らう

 参加者はオススメの1冊を持ち寄り、その絵本にまつわるエピソードや感想を一人ずつ熱く語っていく。子供のころの思い出の絵本から、海外の絵本、ユーモア絵本など、みなさん想いが詰まっているので紹介もピカイチ。誰もが知っている絵本でも、他の人が解説してくれることで気づかされることがある。選書のプロである都築さん自身、参加者の様々なエピソードを聞くことで、新しい視点を得られるという。
「絵本は、ネットで手軽に注文できる時代になりました。でも、この店に足を運ぶことで知らなかった絵本を見つけたり、絵本好きの仲間とも出会えます」。次回のえほん夜会にはどんな人と本が集まるのか。今から待ち遠しい。

倉敷駅近くの閑静な住宅街の一角にある。絵本で飾られた家は、まるでおとぎの国に出てきそうな雰囲気だ

絵本と紅茶とギャラリー つづきの絵本屋
〒710-0811 岡山県倉敷市川入694-7
TEL086-476-0415
営業時間10:00〜18:00(水、木曜日が定休日)
http://tsuzukinoehonya.com/

文=農文協中国四国支部 原田順子

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