今週は作家のサイン会、来週は地元歌手のライブ、再来週は書道家のイベント、さらに次の週は野菜づくり講習会―、ある月のおかべ本屋さんのイベントカレンダーである。地方の書店としてはかなり頻繁な開催だと思う。
「いろんな人が楽しめる企画をどんどんやりたい」というのは、専務の岡部栄二さん。自身もバンドマンとしての顔を持ち、時にはステージに立つこともある。店頭イベントは、出演者が機材などを持ち寄り、参加費は無料となっている。
宮城県石巻市は、2011年の東日本大震災で津波の被害が大きかったまちでもある。岡部さんは震災以前から店頭イベントに力を入れてきたが、震災後、現在の場所に移転してから、回数がさらに増えた。「同じ市内でも復興のスピードには差があり、ここ渡波地区はとくに遅れている。人が立ち寄りやすい本屋という特徴を活かし、少しでも明るい話題を増やしたいと思った」と岡部さん。

週替わりで開催する店頭イベントのポスター。毎回20人ほどが参加する

告知は店頭ポスターやフェイスブック、口コミで、毎回20人ほどが参加。ときにはお客さんから持ちかけられた企画でイベントが実現することもある。今後は子供向けの理科の実験講座や短歌教室なども企画中だという。
イベント期間中は関連本の紹介もするので、多少売り上げにも貢献しているようだが「見返りだけを求めてはダメ。本屋に足を運ぶきっかけになってくれればいい」というのが岡部さんの考え方だ。売っている本はどこの書店でも同じだが、あそこに行けば何かやっている、おもしろいものがある、という店づくりをしたいという。最近ではイベント専用のスペースを拡張。町の交流・情報発信拠点として、ますます活躍しそうだ。

2011年の東日本大震災で元の店舗が全壊。同年9月に近所のイオンの中に移転した

おかべ本屋さん
〒986-2103 宮城県石巻市流留七勺均1-1 イオンSC石巻東店内
TEL0225-24-3539
営業時間9:00〜20:00(年中無休)

文=農文協東北支部 水野隆史

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