地方書店の減少の背景に、後継者問題がある。一般的に小さい書店は家族経営が多く、家業として代々引き継いできたが、少子化や経営が厳しいなか、事業継承が難しくなっている。
 北海道安平町の堀書店もその一つだ。創業は1916年(大正5年)、道内でも歴史のある書店で知られるが、3代目社長の堀喜代衛さんは70歳を超え、後継者もいないことから、創業100年となる2016年4月を節目に廃業を考えていた。前年、それを隣の厚真町の事務用品店社長に相談したところ、「うちの息子に継がせてみないか」と紹介されたのが、小納谷陽一さんだった。札幌市の事務用品卸会社に勤めていた小納谷さんは、「安平町で唯一の本屋を残したいし、いずれは実家の事務用品店と統合して事業を広げたい」と、堀書店を引き継ぐことにした。2016年7月のことだ。

店舗面積は約130㎡。雑誌や文庫のほか、文具や事務用品も扱う。3年前、近所に認定こども園ができ、子供向けの絵本や雑貨を増やした

 事業の譲渡にあたっては、道内の事業継承全般をサポートする「北海道事業引き継ぎセンター」(札幌市)に依頼。どの時期に、どういった話し合いを行なうか、事業継承の具体的なスケジュールや経営譲渡の手続きなど、様々なアドバイスを受けた。また、堀前社長には3年間「会長」として店に残ってもらい、仕事のイロハを教わった。
 現在、小納谷さんは主に外商を担当し、店は妻の奈苗さんが受け持つ。小納谷さんの前職は事務用品の営業マン。学校、役場、図書館など外商の売り上げの割合が大きい地方書店にとっては、まさに適材だ。6歳と4歳の2児の父でもあり、最近は保護者同士のつながりで、店売の若い客層が増えている。「店を継ぐということは、歴史を継ぐということ。先代から引き継いだ顧客を大切にしながら、胆振管内一番を目指したい」。

追分地区の商店街にある堀書店。1階は店舗兼事務所、2階は貸しスペース

堀書店
〒059-1911
北海道勇払郡安平町追分本町5丁目9番地
☎0145-25-2019
営業時間9:00〜18:30(土曜は17時まで、日曜祝日定休)

文=農文協北海道支部 高橋明裕

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