西村書店は、1955(昭和30)年の創業。2代目社長の田中俊宏さんは、大学卒業後に伯母から店を継ぎ、今年で37年目になる。そんな老舗が大手コンビニのファミリーマートと提携し、24時間営業の店舗にリニューアルしたのは3年前。売り場面積が100坪を超す書店とコンビニの一体型店は全国初となる。ネット販売に押されて来店者数が減り、苦境に立つ地方書店が多いなか、コンビニの営業形態や利便性を活かして新たな客層を取り込むのがねらいだ。

農業書・園芸書の棚はコンビニから移動してすぐのところ、雑誌と同じ一番目立つ場所に設置してある。24時間営業のため、万引き対策で防犯カメラを増やした。レジはコンビニと共通なので夜中でも本は買える

 「24時間営業の書店とコンビニの相乗効果は大きい。今や年間の売り上げは書店単独時の1.5倍、客数は2倍以上です」と田中さんは手応えを感じる。実際、コンビニ客の3割が書店で本を買い、書店に来た6割がコンビニも利用するという。
 県内有数の農業地帯にある西村書店は、農業書の売り上げも兵庫県でトップクラスを誇る。加西市内には農業試験場や農業大学校、農業高校があり、新規就農者も多いので様々な農業書をそろえている。地方によくある大型ショッピングモール内のチェーン店とは異なり、コンビニ一体型店は店長の裁量で独自の棚づくりができる。
 一般的に、農業書は「専門書」扱いとなるので店の奥の棚に並べる書店が多いが、西村書店ではコンビニから入ってすぐのメインコーナーに農業書棚がある。田中さん曰く「プロ農家だけでなく、最近は『技術を深掘りしたい』という家庭菜園愛好家も増えている」そうだ。
 日中、農家は軽トラで立ち寄り、長靴を履いたまま店内に入ってくる。コンビニでこびる(おやつ)を買うついでに、本屋で農業書を買うことも多く、地域に合った複合店が人気となっている。

店舗面積は約710㎡。書店のスペースが約4分の3を
占め、雑誌や絵本、専門書など約10万冊をそろえる

西村書店(ファミリーマート+西村書店)
〒675-2311
兵庫県加西市北条町横尾285-1
☎0790-42-5008
24時間営業(年中無休)
書店員が対応するのは10:00〜22:00まで

文=農文協東海近畿北陸支部 野村収平

コメントは受け付けていません。