三重県の北東端、木曽岬町は人口6400人ほどの小さな町です。小学校と中学校が一つずつで、高校はありません。町内には民間の学習塾が少ないため、進学校を目指す子供たちは、隣の桑名市や愛知県弥富市の塾まで通うケースが多いといいます。そうしたなか、木曽岬町教育委員会は「地域とともにある園・学校づくり」の一環として、2017年に「木曽岬子ども未来塾*」(以下、未来塾)を設立。翌年、オープンしたばかりの町立図書館の利用促進を兼ね、中学生を対象とした放課後の学習支援活動を始めました。

図書館の自習室を利用して学習支援を開催。支援員には、未来塾から毎回1000円の謝礼が支払われる

開催は毎月2〜3回(金曜18時〜19時45分)、小中学校の元校長や教員OB、地元出身の大学教員など7人の「学習支援員」が、当番制で子供たちの勉強を見ます。科目は学力の差がつきやすい英語と数学が中心。教育委員会が用意したプリントや問題集を使うほか、夏休みにはALT(外国語指導助手)の教員を招いて英語でクイズをするなど、学校の授業とは異なるかたちの学習が好評です。
参加する生徒の費用は無料。毎回10人前後、年間で延べ200人余りの子供たちが図書館に通って勉強を教わっています。昨年は新型コロナの影響で開催が減り、参加人数も4割減でしたが、除菌や換気を徹底して学習支援は継続しました。司書の吉武奈穂子さん曰く「図書館は静かで学習環境に最適です。毎回、帰り際に子供たち一人一人に声をかけられるので、本を紹介したり、反対に子供たちの要望を聞くとこともできて、選書にも役立ちます」。
実際、英語の辞書や国語の教科書に登場する小説をそろえたことで、子供たちの利用頻度がアップ。また、平日は18時の閉館ですが、未来塾がある金曜日は20時まで開いているので、会社帰りの人などの利用も増えました。

館内には前身の北部公民館図書室から移管した本をはじめ、約3万冊の蔵書が並ぶ

*未来塾はこども園や小学校の体験活動も支援。地域の農家やボランティアが、巨大カボチャづくりや星空観察会などを企画・運営する。

三重県木曽岬町
木曽岬町立図書館

文=農文協 東海北陸近畿支部 栗橋悠助

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