近鉄線の富田林駅から徒歩1分、芦田書店は江戸期の古い町並みが残る寺内町界隈にある。20坪の店を切り盛りするのが、店長の芦田真理さん(62歳)。高校3年のとき父親を亡くし、短大を卒業した1967年、20歳で家業を引き継いだ。

 当時は母親との二人三脚。出版社と打ち合わせて児童書や絵本のセットを持っては、近所の団地に出向いた。「出張販売が商売の原点」と話す芦田さんは、いまでも南河内や富田林の喫茶店から学校まで、毎月50件ほどの配達をこなしている。

 そんな芦田さんが本町商店街の空洞化対策に乗り出したのは、「人と商売の活気を取り戻すためにも、何とかせなあかん」との思いからだった。商店街の50〜60代の女店主(衣料店、薬局、旅行店など)8人と2004年に「本町小町グループ」を結成。店の通りに人を呼び込もうとはじめたのが「軒下マーケット」だ。

生前父親と親交のあった地元歌人「石上露子(いそのかみ つゆこ)」の関連本も常設する

 毎月第2土曜日、参加者は出店料1000円で商店街の軒先を借り、手づくり雑貨や焼きたてパン、自家用畑の野菜などを並べる。障害者ボランティアやペット・ボランティアなど、地元以外からも毎回10店ほどが出店。イベントとして定着してきた。2007年からは「じない市文化トラスト」が企画する「じないまち雛めぐり」(町屋の軒先に雛飾りを展示)などの催事とも合流して、8000人以上が商店街を訪れる。

 そうした草の根の活動が土台となり2008年、「富田林駅南地区まちづくり協議会」が発足。芦田さんは事務局次長となった。

 近年、協議会では町屋の空き店舗の活用に力を注いでいる。築180年のみりん醸造蔵(佐藤邸)を改築し、2010年にオープンした「紅梅蔵」(雑貨屋、カフェ、農産物直売所の3店)もそのひとつ。

 なかでも芦田さんは、「まち×むらステーション里庭」代表で、大阪市内から移住した30代の山内美陽子さんと意気投合した。さっそく山内さんの直売所に食と農の書籍コーナーを設けるなど、商店街を盛り上げる次世代との絆づくりも意識しはじめている。

富田林寺内町は、大阪府で唯一の国の重要伝統的建造物群保存地区

芦田書店
〒584-0093 大阪府富田林市本町14-13
電話 0721-23-2816

文=農文協近畿支部 西田文彦

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