まんのう町立図書館では、町内の様々な知恵や技術を持った町民を「まんのうの達人」と呼び、書籍やインターネットだけでなく「達人」の力も借りて町民の課題解決をサポートしている。
 「まんのうの達人」は講師として定期的に講座を開くほか、図書館に寄せられた質問に対して館内の掲示板やホームページ上で回答している。現在は図書館から声を掛けて集まった方々が4人いて、それぞれ郷土史や俳句、絵本の読み聞かせ、農業を担当している。

館内に掲示された達人からの回答

 農業担当の豊嶋和人さんは2.6haの農地で30品目をつくる専業農家だ。例えば「小さい庭で秋から育てるのにおすすめの野菜はありますか?」という質問には「10月中に播くことができて、ビニールトンネルなどで覆わずに育つのは、野菜だと、ホウレンソウ、シュンギク、ニンニク、タマネギでしょうか」と農家としての経験を生かして回答している。豊嶋さんが講師をする年4回の農業講座も人気だ。集まっての開催が難しい現在は「ブログ版農業講座」を図書館ブログ内にて公開している。「みんな知りたい病害虫のこと」では、野菜やイネにつく虫について3回にわたって書いており、関連書籍まで紹介する充実の内容だ。
 この取り組みは、開館当初からの「資料による情報提供だけでなく、人こそが財産」という思いで始まっている。天野友紀子係長は「地元の人たちに図書館は自分たちのものだと感じてもらうために、有益な情報を届けたい。司書が選んだ本だけでは、どうしても偏りが出てしまう。町民にも積極的に図書館運営に参加してほしいという思いもあり、達人を募っている。交流が深まることで、司書の思いもよらなかった書籍をそろえることもできる」と話す。

農業講座の様子。豊嶋さんは「非農家が増えているこの町で、講座を通じて少しでも農業をする人が増えれば」という

文=長谷川貴央(農文協 中国四国支部)

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