2011年の新図書館の開館にともなって、萩市は「市民が様々な活動や館内業務に参画できる図書館」を目標に掲げました。市が図書館職員を雇用するのではなく、市民で組織したNPO法人と協働で運営するという手法を選択し「NPO萩みんなの図書館」が誕生しました。

NPO萩みんなの図書館会員の皆さん

 NPOには市から委託料が支払われます。専門知識が必要な貸し出し・返却業務やレファレンス業務は、NPOが雇用した司書資格を持った職員が担当。市の職員は、対外的な対応や施設管理など図書館の運営全般に関わる業務を担います。100人ほどいる一般のNPO会員は「環境美化班」「図書整理班」「寄贈本仕分班」「読み聞かせ班」「イベント班」「歴史関係読書班」「愉しい音読班」「喫茶運営班」という八つの班に分かれて活動します。喫茶運営班以外は原則無償の活動です。軽食喫茶での旬の食材を生かした特別メニューの提供や、寄贈本の館内での無人販売、市民病院の図書コーナーの整備、映画上映会や古本市の開催なども行なっています。
 また金・土曜日限定ですが、明治維新史学会等に所属する市民を「レファレンス専門員」に任命しています。図書館が所蔵する約4万点の維新史・郷土史に関する資料を活かし、司書のNPO職員とともに明治維新に関する照会に対応します。専門員と職員は自らも研究し、「夏の歴史館」という図書館のイベントで成果を発表します。
 萩図書館は原則年中無休で、午前9時から午後9時まで12時間開館。司書の弘中恵さんは「会員さんがいて活動してくれるから、職員だけでは手のまわらないサービスができる」と言います。市民が運営に参画し市民の要望に応え、市民と共に成長する図書館をめざして運営しています。

図書整理班。本の整理や棚への返却、カバー掛けなどをする

文=細田実生(農文協 中国四国支部)

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