季刊地域ついて

いま、政治や経済がいかにゆるごうと、「ゆるがぬ暮らし」「ゆるがぬ地域」をつくり出そうとするさまざまな実践が各地で行なわれています。本誌は、そうした人びとや地域に学び、地域に生き、地域を担い、地域をつくろうとする人びとのための雑誌です。また本誌は、農村から都市に「農のある暮らし」「自然な暮らし」を呼びかけてきた、「増刊現代農業」が生まれ変わったものです。「ゆるがぬ暮らし」「ゆるがぬ地域」の根底に、「ゆるがぬ農」が必要であることに変わりはありません。なにとぞ本誌のご支援、ご愛読のほど、よろしくお願い申し上げます。

編集部

『増刊現代農業』から『季刊地域』へ

1987年6月、「日本のコメは国際価格の10倍。安いコメを輸入しろ」という自由化議論が世間をゆさぶるなか、「緊急特集 コメの輸入 59氏の意見」を特集して本誌の前身である『増刊現代農業』はスタートしました。
その後、95年4月『産直革命 ものからいのちへ』では、今日の直売所の隆盛につながる動きをいち早くとらえ、98年2月『定年帰農 6万人の人生二毛作』は「定年帰農」という言葉が一般に定着するほどの反響を呼び、2002年5月『地域から変わる日本 地元学とは何か』で提案した「地元学」は、その後の「食の文化祭」や「鳴子の米プロジェクト」など地域の元気な活動につながる大きな力となるだけでなく、世界の地域づくりに役立てられています。以後、04年2月『土建の帰農』、05年8月『若者はなぜ農山村にむかうのか』など、農家と新しい「帰農」の動きをつないで地域をつくるための特集など、精力的に企画・編集してきました。
いま、デフレ・不況のなかで、「地域の再生」にむけた多様な取り組みが各地で展開しています。そんな地域や人びとに学び、地域の再生・創造を地域から本格的に起こしていくための総号誌として、『季刊地域』にリニューアルしました。

『季刊地域』は、農家、農村リーダー、行政、農協、NPO、企業、そして地域貢献をめざす大学や、地域に向かう市民を「地域の再生」にむけて「共感」のもとに結び直し、業種縦割り中央集権では見えなかった地域資源を生かす農工商連携、流域連携、複業的な「地域という業態」によって風土産業、仕事、暮らしを創る総合実用・オピニオン誌をめざします。
『増刊現代農業』の最終号『ザ・農産物直売所』(2010年2月号)で特集したように、全国の直売所がついに14000ヵ所に達し、コンビニ最大手のセブンイレブンの店舗数(12467店)を超えました。この直売所は売る場所にとどまらず、訪れるお客との交流をつうじて、グリーンツーリズム、農村レストラン、農家民宿などへと展開し、さらには、土建・建設業、観光業、学校や病院、福祉施設、地元食品企業をつなぐ拠り所になってきました。
それが示すのは、地域の業態革命の可能性です。従来の業種縦割り中央集権ではなく、地域に生きる人びとが業種の壁を越えて関係を結び直し、地域の自然風土、農に根ざしてつくりだす農商工連携、医食農想(教育)連携の新たな「地域という業態」にこそ未来があると、私たちは考えています。
そのような地域を創造していくうえではグローバルな視点も欠かせません。地域を取り巻く政治・経済・思想などの諸環境を歴史的・世界的に把握、分析し、それを「地域という業態」の構築に資する方向で考える良質な理論、情報の提供にも努めます。
『季刊地域』は、地域に生き、地域を担い、地域をつくる人びとのための実践の雑誌をめざします。

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