summer 2010
No. 02


定価900円






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増刊現代農業

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現代農業2010年8月増刊

ゆるがぬ暮らし「季刊地域」
高齢者応援ビジネス――みんなでつくる居場所と仕事/定年前・定年帰農――人生複線化のすすめ



写真=田渕睦深

特集1
高齢者応援ビジネス──みんなでつくる居場所と仕事

[宅老所]むらの力、人の力 介護はこんなに面白い! …江森けさ子

[レストラン]1日30食から始まる住民のつながり、農とのつながり

[加工所]「小さな加工」が支えて生涯現役の棚田ユズ栽培 …尾崎正利

[廃校活用]みんなが集まり、語り、働く「森の巣箱」

山の人生の目覚め 聞き書きの伝承力 …清藤奈津子(山里文化研究所)

編集長が聞く 経済成長なき時代の地域と居場所と仕事 …広井良典さん


特集2
定年前・定年帰農──人生複線化のすすめ

定年前・定年帰農Q & A

[農地と販売をどうする]直売所を軸に定年帰農

農地取得・貸借の下限面積を5アールに

栽培指導から農地・機械の斡旋まで 団塊世代の就農をきめ細かく支援

[どうする? むらのつきあい]草刈りと薪ストーブがむらとの接点に

A、B、C、3パターン あなたならどれを選ぶか …田中正治

地域のこれまでを未来に引き継ぐ 「むらの教科書づくり」 …原和男(百姓養成塾)

[定年前帰農の達人たち]早期退職して継いだ本職の年収は30万円
それでも食べていける理由 …臼杵秀昭さん

「天下り」ならぬ「野下り」のすすめ …有賀茂人さん


インタビュー

「あきらめません。また復活します」口蹄疫・渦中の若者の声を聞く …黒木俊勝さん

集落・戸別補償・農協の役割 農林水産大臣政務官 舟山康江さんに聞く(2)


連載ほか

農農の造形 蕨野の棚田 …青柳健二

地デジ宣言 「自分たちメイド」のネットワーク …迫田 司

ハマる 山・川・海の「遊び仕事」 堰上げ …かくまつとむ

表紙のはなし 田渕家のあつまる日。 …田渕睦深

農山村地域再生政策の課題と展望
農文協創立70周年記念シンポジウム基調講演より …小田切徳美

集落ではじめるエネルギー自給の暮らし 森と大地の恵みのすまい …高野雅夫

わがまち・むらのゼロ予算事業 長野県飯山市『見守りとうど衆』 …武田 誠

「廃校」でなく「閉校」 愛知県岡崎市立千万町小学校

いいからかん片品村だより 家とは生き方そのもの、パートナー …桐山三智子

むらのヨメさん不心得帳 私の役は「言い出しっぺ」 …吉井惠璃子

世界の食料・農業インテリジェンス ランドラッシュに無力な「円卓会議」 …北林寿信

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地元学と空間的解決

「ないものねだり」ではなく「あるもの探し」による地域づくり=地元学の提唱者・結城登美雄さんはつぎのように述べている。
「性急に経済による解決を求める人間には、ここには何もないと見えてしまうだろうが、自然とともにわが地域を楽しく暮らそうとする地元の人びとの目には、資源は限りなく豊かに広がっている」(「シリーズ 地域の再生」第1巻『地元学からの出発』)。
 本号の特集1の「高齢者の居場所と仕事」も、地域に「あるもの」を活用したものだ。たとえば宅老所「峠茶屋」はむらの財産区で管理する旧公民館を活用し、集落コンビニや居酒屋、作業所を兼ねる「森の巣箱」は廃校を活用したものだ。
「あるもの」は「もの」だけに限らない。「コミュニティダイニングおおさと」のワンデイシェフは料理の腕に覚えのある地域の主婦であり、「大里農場」が「本気で農業に取り組みます」と地域に宣言したとき、協力を申し出たのは定年まで国の農業研究機関に勤めていた人だった。地域に暮らす「人」もまた「あるもの」であり、「限りなく豊かに広がる」資源なのだ。
 千葉大学法経学部教授の広井良典さんは、「いままでは時間軸に沿って経済が成長し、問題が解決していくと考えられていた」が、これからは「それぞれの地域ごとの風土的・文化的な多様性が浮かび上がってくるような空間的解決の方向性が強まりつつある」と述べている。
「ゆるがぬ暮らし」「ゆるがぬ地域」のために、地域に「あるもの」、地域に「暮らす人」の見直しが進む。──編集部


季刊地域について

いま、政治や経済がいかにゆるごうと、「ゆるがぬ暮らし」「ゆるがぬ地域」をつくり出そうとするさまざまな実践が各地で行なわれています。本誌は、そうした人びとや地域に学び、地域に生き、地域を担い、地域をつくろうとする人びとのための雑誌です。また本誌は、農村から都市に「農のある暮らし」「自然な暮らし」を呼びかけてきた、「増刊現代農業」が生まれ変わったものです。「ゆるがぬ暮らし」「ゆるがぬ地域」の根底に、「ゆるがぬ農」が必要であることに変わりはありません。なにとぞ本誌のご支援、ご愛読のほど、よろしくお願い申し上げます。

編集部


編集後記

いま、口蹄疫で甚大な被害を受けている宮崎県川南町は、「増刊現代農業」2010年2月号『ザ・農産物直売所』で町内トロントロン商店街の「軽トラ市」を、2008年2月号『食の自治から暮らしの自治へ』で「食の地元学」の実践である「川南の四季を食べる会」を、役場の河野英樹さんにご紹介いただいた町。同会が開催する隣町・高鍋町との「鍋合戦」は、軽トラ市とともに川南を代表する催しに成長した。
 また同会には、「業種の壁や組織の壁なんて取っ払い、地域をひとつの業態として捉え行動しよう」(河野さん)と、農林水産商工業、農協、役場職員など、さまざまな業種の人びとが結集し、軽トラ市では、特産の牛乳ベースの鍋を提供していた。
 河野さんはいま、「復興は簡単ではないでしょうが、地元学や水俣に出会っていてよかったです」と語る。
 悲しみを強さにかえ
 またここで一歩踏み出せる
 だって川南が好きだから……
 負けるもんか開拓魂
 トロントロン商店街のお店には、牧場の上の青空に、そんな文字が浮かぶポスターが貼られている。[甲斐]

この3月で136年の歴史を閉じた愛知県岡崎市立千万町小学校の最後の教頭先生は荻野嘉美さん。昭和40年度の卒業生でもある。荻野さんが地域の人とともに千万町小の存続をはかり、統合決定後も、その跡地を地域の拠点として残そうと奔走しているのも、自分を育ててくれた学校への強い思いがあるからだろう(104頁)。
「自分が暮らし続ける地域のために、そして地域で暮らし続ける自分のために」とは長野県辰野町の元役場職員で、早期退職して「福寿草の里」づくりに取り組む有賀茂人さんの言葉だが(85頁)、教員や役場職員が自分の出身地・出身校に肩入れするのはけっして「我田引水」ではない。ぜひそんな根拠地をもち、やがてはそこに住めるような人間になりたいものだと思う。[阿部]

グループホームすみか(8頁)を訪ねると、東京からお客さんが来たというので、はるさんが何度もおじぎした後、東京音頭を歌ってくれた。ほかにも木曽節、安曇野節……。よく通る澄んだ歌声に、しばし聞き惚れた。ヨモギを仕分ける手さばきは早く、薬効も教えてくれた。ヨモギはスタッフの手で、香り高い草もちになった。[馬場]

はじめまして。今回から編集に加わりました。「情報ターミナル」(120頁)は、地域づくりの実践のコツが盛りだくさん。岩手県矢巾町の「ちゃぶ台返し世界大会」の優勝賞品は、なんと「金のちゃぶ台」! 産直市の木枠の廃材を利用した農家のお手製品だ。お金と手間をかけないアイデアで、小さなまちに大きなT笑いUが広がる。[蜂屋]


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