自由貿易に抗する日本と世界の新たな潮流
忍び寄る世界食料危機と食料安保問題を解決するには、貿易における強者の論理を排し諸国民の食料主権確立運動と連帯し、アメリカの食料の傘=日米同盟からの脱却とTPP不参加を貫く必要があることを多角的に論証。
目次
●序章 溶解するWTO体制と台頭するオルタナティブ
1.世界同時不況下の消費不況が農業を直撃
2.「自由貿易圏」構築戦略の危うさ
3.穀物需給のひっ迫化
4.WTOの農産物自由貿易体制
5.反グローバリゼーションのオルタナティブ
●第1章 WTO体制下の世界農業と途上国
1.WTOとアメリカの農政転換が世界農業に打撃
2.EU農業の構造調整と家族経営
3.多国籍企業主導の農業技術革新と世界農業再編
4.世界農産物貿易に「新貿易風」
5.WTOと途上国
●第2章 世界の穀物需給動向と遺伝子組み換え作物の新展開
1.世界の穀物需給
2.アメリカの穀物生産拡大とバイオ燃料政策
3.遺伝子組み換え作物の進展とその特徴
●第3章 カナダの農産物マーケティング・ボードと供給管理-酪農を中心に-
1.はじめに
2.マーケティング・ボードと供給管理
3.カナダの酪農家
4.酪農における供給管理の仕組み
5.輸出入管理とWTO協定
6.むすび
●第4章 食料危機・食料主権と「ビア・カンペシーナ」
1.はじめに
2.グローバル化のもとで進む食と農の危機
3.食料主権を提起したビア・カンペシーナ
4.食料主権運動の発展
5.日本農業の弱さと強さ、根本的転換の方向
●第5章 国連「食料への権利」論と国際人権レジームの可能性
1.はじめに
2.国際人権レジームの発展
3.基本的人権としての「食料への権利」
4.おもな論点と「食料への権利」アプローチ
5.国際人権レジームの可能性・むすびにかえて
●第6章 日本農業と消費生活協同組合-生活クラブの「生産する消費者」運動
1.はじめに
2.「レイドロー報告」と消費生活協同組合
3.「生産する消費者」運動が体現すべき基本理念
4.持続可能性を追求する「倫理的経済」
●第7章 食料主権のグランドデザインと期待される農政
1.「直接支払い」
2.日本安保体制と食料・農業問題
3.日本農業の進むべき道-食料主権のグランドデザイン
●終章 TPPと農業・食料主権は両立しない
1.TPPは東アジア共同体とはまったく異質である
2.小泉・竹中路線に戻った民主党