全国をまわる農文協職員が集めた元気な活動の数々をご紹介します。「ゆるがぬくらし」「ゆるがぬ地域」づくりに取り組む全国各地の耳寄りな情報です。

「1991年から荒廃地をまったく出していないんだよ」。そう話すのは日南町の有限会社だんだん代表取締役の石川哲嗣(75歳)さん。笠木地区の農地約70haを守るために、組織づくりや仕組みづくりに尽力されています。
だんだんは一般社団法人笠木営農組合の実働部隊。笠木地区はいわゆる2階建て方式の集落営農で、1階部分の組合は、中山間直接支払等の運営や資材の共同購入など公益機能を担う。だんだんは農産物を生産する2階部分を担当しています。だんだんでは現在6人雇用し、米29haとダイズ3haを栽培しています。
3年前からは組合で地域独自の「災害復旧基金」を始めました。中山間直接支払の笠木集落協定への交付金額は、加算金も含めて年間1600万円(個人・共同活動50%ずつ配分)。共同活動分から水路管理組合へ毎年支払う金額の半分を、災害に備えて積み立てることにしました。災害復旧事業の対象になった時に、この基金から地元負担金を支払う仕組みです。
「年金暮らしのお年寄りや独居老人が地元負担金を払うのは大変なんじゃないかな。農地はみんなで守るという意識のもと始めた取り組みです」と石川さん。これまでに4回利用。つい最近も2024年11月の大雨によって法面や畦畔が崩れ、災害復旧事業を申請したところです。
(農文協 佐藤優紀)