2016年4月5日発売 定価926円(税込)


特集 田舎でのパンとピザの可能性


[今号の撮っておき]

竹の薪

 見た瞬間、「なるほど、お見事!」と膝を打った写真なのだ。

 何せ竹の利用には、私も長年こだわってきたつもり。竹細工は素敵だが量的にはタカがしれてる。竹炭や竹パウダーに加工して田畑に入れるのが最高だとは思っているが、いっぽうで、燃料にできたらもっと気軽に大量に使えるのに、ともずっと考えてきた。しかし、「竹はすぐ燃えてしまうので燃料には向かない」というのが世の常識。

 ところが、長野県飯田市の天竜川で舟下りの船頭をやっている曽根原宗夫さん(本誌p90)が、ある日思いついたのだ。竹の中に割った竹を詰めてみたら……、燃料としての密度が上がり、これまでの3倍も火持ちする竹の薪が出来上がった。名付けて「スーパーアチチ君」。

 薪ストーブに使えるよう、長さは従来の薪と同規格の40cmとしたそうだ。切る位置は気にしなくても、節は割り竹を突っ込むときに貫通する。ただし竹は火力が強く温度がガッと上がるので、薪ストーブは「竹や針葉樹が燃やせる」と謳っている鋼板タイプのものでないとダメそうだ。現在、竹の薪をストーブに愛用する家が地域で4軒に広がったという。

 つくるのはちょっと手間に見えるが、木を薪割りするよりは手軽。ワークショップなどで子供達にやらせるにもいい。ナタを使ったり火を使ったりするイベントは大人気なので、一回やるとけっこうな量の完成品が確保できるという。

 竹3本で、灯油18ℓ分のエネルギー量になるそうだ。なかなかたいしたもんじゃないか。無理だと思い込んでたことが、現場の工夫で乗り越えられてゆく事例をまたひとつ見た。

──編集部