2018年1月5日発売 定価926円(税込)


特集 山で稼ぐ!小さい林業 ここにあり/雪かきを担うのは誰だ


[今号の撮っておき]

吠える牛

 「希望の牧場」吉沢正巳代表(p84、p115)が福島県浪江町から全国各地へ原発反対の遊説に出かけるとき、必ず連れて行く牛のオブジェだ。巨大スピーカー付きワゴンの街宣車が引っ張るトレーラーに乗っている。トレーラーのアオリ上部にはLEDが埋め込まれており、夜は下から牛がライトアップされるそうだ。深夜の高速を走る姿を想像してしまった。

 本当は本物の牛を連れて行きたいところだろうが、希望の牧場にいる被曝牛は、特例で殺処分を免除された「放射能汚染牛」ということで、他地域への移動は厳重に禁止されている。

 この牛のオブジェ、もともとは彫刻家・知足美加子さん作「望郷の牛」という名の芸術作品。寄贈されたときは白い骨組だけの姿で、被災後の牛と人との離別の哀しさを表現していた。血管を思わせる赤色をまだらに入れ、黒い布をかけたのは吉沢代表のしわざだ。「闘う牛」に変わった。

 本当は明るく新年挨拶を書きたかったのだが、この写真を選んだ時点でそれは許されなくなった。吉沢代表と話すと、自分のみぞおちの奥あたりにイガイガしたものが潜むのを意識させられる。そういうやりきれなさをも噛みしめながら、地方からの視点、地域に根を張る骨太の思想を貫く雑誌でありたいと思う新しい年。

 2018年もよろしくお願いします。

──編集部 写真=倉持正実