2019年10月5日発売 定価943円(税込)


特集 スマート農業を農家を減らす農業にしない


[今号の撮っておき]

むらを見守る野良のアート

 不思議と田んぼになじんで見える。田んぼの神様というのはこんな顔なのではないかという気がしてくる。

 福島県二本松市の布沢集落では、多面的機能支払の活動の一つとして一昨年から「野良のアート」を始めた。活動組織の代表を務める菅野正寿さん(60歳、p48)が、造形作家の長谷川千賀子さんと知り合ったことがきっかけだ。

 この春もみんなで粘土をこね、思い思いの「顔」を十何体もつくった。前からでも後ろからでも顔に見えるようにつくる。焼き上げる作業は千葉県にある窯元に頼むのだが、秋には、出来上がった「顔」をトーテムポールのように積み重ね(中空になっている)、これを煙突代わりにモミガラくん炭を焼くそうだ。煙突の役目を終えた「顔」は、むらを見守るようにあちこちに飾られることになる。

 「田の神、山の神、水の神、太陽の恵み、土の力。自然の神様に感謝するのが農村の祭り。感謝の思いを込めて、集落の棚田をキャンバスに『野良の芸術』のような企画ができないものか」。菅野さんが長谷川さんにそう話したことから始まったらしい。

 今年の米の収穫ももうすぐ。稲穂を背景に立つ神様は嬉しそうだ。

──編集部(写真提供=菅野正寿さん)