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季刊地域について

『季刊地域』は、地域をよくしたいと思う人たちのための雑誌です。ここでいう地域とは、農業や林業など第1次産業が身近にある地域のことです。

 前身の増刊『現代農業』をリニューアルする形でこの雑誌が誕生したのは2010年のこと。ふり返ればこの10年余り、農山村を取り巻く状況は大変な出来事の連続でした。2011年の東日本大震災・原発事故、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に始まる大型の経済連携協定、政府による飽くなき規制改革と農家減らしの圧力、そしてコロナ禍とロシアのウクライナ侵攻による国際的な物流の停滞は、食品価格の値上がりをもたらすとともに、肥料・飼料・燃料の高騰により農業生産に大きな影響を及ぼしました。

 農村では、2010年に200万人を超えていた基幹的農業従事者数が、2022年時点で123万人にまで急減しています。しかしその一方で「田園回帰」という言葉に象徴されるように、農山村へのIUターンが増えたこともこの間の大きな変化です。コロナ禍を経て、若い世代を中心とした地方移住への関心が高まっています。

 農山村を取り巻く逆境を乗り越えるにも、田園回帰する新住民を仲間として迎えるにも、地域の役割が大きいと私たちは考えます。地域が表わす範囲は様々ですが、ここで念頭に置くのは一般に地区と呼ばれるような小学校区や旧村、あるいは集落です。そこでは営農面での集落営農組織や、住民の生活支援など自治のための地域運営組織(RMO)が生まれ、両者が一体となって機能する動きも始まっています。

 この大きな転換点において『季刊地域』は、暮らしと仕事の両面から、農山村で暮らす人、暮らしたい人の頭と手を刺激するとともに、誌面を通じた情報交流を図っていきたいと思います。具体的には以下のような5分野について取り上げます。

(1)地域資源…無尽蔵な自然の恵みだけでもありがたいのに、最近は、荒れ地だの空き家だの廃校だのと、活かし方に腕が鳴る地域資源が増えてきた。今まで見て見ぬふりしてきた「山」も仲間にできたなら、「地域」はうんと広くなる。深くなる。

(2)地エネ…人類の行方はエネルギー問題の解決にかかっており、そのカギは農山村にある。だがそんな大上段には構えず、まずは自分たちの使うエネルギーをつくりだすのが楽しくて、痛快だ。

(3)農・農家…むらが強いのは、そこに農があり、農家がいるからだ。農家減らしの圧力との農村なりのたたかい方。さすが、なかなかしぶとい。

(4)自給力…農家力の根源は自給力。だから、農村力の根源も自給力。みんなでつくると、大きなことができる。

(5)自治力…困る人がいたら、何とかする。困ることがあれば、何とかする。この「あたりまえ」を継続していくために「むらの仕事」を起こす。それがやがて、人を増やす力にもなっていく。