安平町立早来学園まなびお図書室は、町立の小中一貫校に公民館の図書室が一体化した施設です。2018年9月6日に発生した胆振東部地震により、多くの町営施設の建て直しが必要になったことで再編され、昨年春にオープンしました。図書室というと「静かに本を読む場所」をイメージしますが、まなびお図書室が目指したのは地域住民と子供たちの間にコミュニケーションが生まれる場です。
昨年夏には、学校と地域が互いにより身近な存在となるように、町長、校長先生、学芸常任委員(図書委員)の生徒がおすすめ本を展示しました。また、司書の岩井昌子さんによると、子供がカマキリを捕まえて大人たちに見せていたとか。安平町ではもともと見なかったカマキリが、地球温暖化の影響か2~3年前から急に出現し始めたのです。一緒に図鑑を開いたりしたのでしょうか。
室内は「大人も子供も居心地のいい空間づくり」が意識されています。ゆったりと座れる椅子やおしゃれな家具を配置し、本もただ棚に並べるだけではなく、表紙を見せるなど展示の仕方を工夫しています。棚はすべて地元企業の北産木工が製作。ゆるやかにカーブしている本棚には、本を探す人が「奥へといざなわれる」ような効果があり、探求心を引き出す狙いがあるそうです。地域住民からの声もありWi-Fiが設置されていることから、リモートワークをする大人も増えました。大人の働く姿が身近にあるのは、子供たちにとって新鮮かもしれませんね。
岩井さんによると、蔵書点検の際には本好きの中学生が自主的に手伝ってくれたこともあったそうです。「図書室が、あの子にとって居心地のいい場所になっているのかなぁ」と嬉しそうに話してくれました。
(農文協 柴崎俊洋)