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試し読み季刊地域Vol.60(2025冬号)ゆるくらジャーナル

岩手

米づくり法人の冬の仕事は酒米出荷先で酒造り

全国をまわる農文協職員が集めた元気な活動の数々をご紹介します。「ゆるがぬくらし」「ゆるがぬ地域」づくりに取り組む全国各地の耳寄りな情報です。

南部美人を持つ若手従業員

 日本三大杜氏の一つ「南部杜氏」の里である岩手県。酒造りの仕事は現代でも農家にとって身近なようです。

 二戸市の金田一営農組合は作業受託も含め米30ha(うち15haは酒米のぎんおとめ)、ダイズ30ha、ソバ10haをつくる農業法人です。組合長は五日市亮一さん(67歳)。従業員は6人で、主に地元の30代を中心に若者が働いているのですが、年間雇用となると冬場の収入が課題でした。

 そんな時に酒米の出荷先である株式会社南部美人から「酒造りをする人が足りないので一緒にやってくれないか?」と声がかかり、3年前から3人の従業員が働きに出ることになりました。12月から3月の期間、金田一営農組合と同じ労働時間と待遇で蔵に出勤。蒸した酒米の運搬など蔵人の補助作業に入っています。

「最初の1年はみんなも不安そうだったけど、自分たちが育てたお米がお酒になる過程に携わることはやりがいになる。新酒ができるのがいっそう楽しみになったよ」と五日市さん。交流を通じたつながりも深まりました。蔵のほうからも田植えやイネ刈り、夏場の除草作業を手伝いに来てくれたりするそうです。

 昔から岩手県の農家には冬場に酒造りに出る方が多くいましたが、金田一地区ではそれが今も続いています。

(農文協 梅津友紀乃)

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