集落機能強化加算の廃止方針撤回を農水省に直接求める動きが起きている。廃止方針に反対の声を挙げたのは、中山間地域の再生を目指す産・学・民・官のネットワーク「特定非営利活動法人中山間地域フォーラム」だ。
文=編集部
中山間地域フォーラムは、今回の集落機能強化加算の廃止が、農村地域に混乱をもたらし、現行の「食料・農業・農村基本計画」(2020年3月閣議決定)が「地域コミュニティー機能の維持や強化」を推進するとしていることにも反するとして、廃止方針の撤回と実質的な継続を求める内容を意見書にまとめ、2024年9月24日に武村展英農林水産副大臣に手渡した。
フォーラム副会長の野中和雄さんは、この加算措置が第5期対策(2020~2024年)で新設されたばかりで、5年で廃止することは朝令暮改であり、廃止に至るまでの経緯に問題があることも副大臣に説明した。また農水省には、従来の集落機能強化加算による活動が新設するネットワーク化加算で実質的に継続できるようにするという考えもあるようだが、ネットワーク化にすぐに取り組める集落ばかりではないといった問題点も伝えた。
野中さんと共に意見書の提出に立ち会った同じくフォーラム副会長の榊田みどりさんによると、意見書の説明を聞いた副大臣からは「中山間地域の重要性は認識している。これまで中山間地域等直接支払制度を通じて積み上げてきたものを足蹴にするつもりはない」との発言があり、「概算要求の段階なのでまだ詳細は決まっていない。廃止ではなく再編である」とも語ったという。
これまで『季刊地域』では集落機能強化加算の活用事例をいくつも紹介してきたが、いずれも生産とくらしの両面からの内発的な地域づくりが進められている。そうした現場の実態を農水省がどのように理解しているかが気になる。先駆的な活動の成果に大いに学び、加算廃止について再考を求めたい。
意見書は中山間地域フォーラムのホームページ(https://www.chusankan-f.org)で公開されているので、ぜひご覧ください。