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季刊地域Vol.58 (2024夏号)ゆるくらジャーナル

岐阜

シカに一度負けた中山間の畑、トウガラシでリベンジだ

 農家の小川太郎さんは、本巣もとす市の中山間の農地を保全するために「徳山唐辛子」を特産品にした発起人。徳山ダムの建設でなくなった集落からタネを持ってきた羽田新作さんの力を借り、「徳山とうがらし連絡協議会」として生産と普及活動をしている。

 近年、シカの害が非常に増えており、農作物をつくるのをやめた高齢農家が多い。そうした農家に声をかけて苗を無償で配布しているそうだ。トウガラシはシカにかじられることもない。特に徳山唐辛子の辛さは通常の1.6倍で、他の獣害の心配もないのだとか。

徳山唐辛子

 苗1本に対し市から約100円補助され、昨年はおよそ1500本生産した。17戸の農家が栽培しており、多い人は年間100~150kg販売している。

 トウガラシは協議会に集荷され、直売所などで生果は120g200円で販売される(約8割が農家に入る)。もちろん乾燥したもの(12g200円)や粉末(12g450円)でも売られている。収穫が手摘みのため生産量に限界があること、辛味に加えてうま味もあることから高く売れるという。

 地元の企業と、味噌やシカ肉を使ったピリ辛ジャーキーなどの商品開発にも取り組む。獣害に一度負けた中山間でひそかな稼ぎになっている。

(農文協 小篠健太郎)

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