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季刊地域vol.64(2026冬号)ゆるくらジャーナル

鹿児島

小さい米づくりから移住者が生まれた

全国をまわる農文協職員が集めた元気な活動の数々をご紹介します。「ゆるがぬ暮らし」「ゆるがぬ地域」づくりに取り組む全国各地の耳寄りな情報です。

田んぼで苗を手植え

 堀内孝志さん(70歳)は、曽於(そお)市の山間部、大峰地区で米6.5haやシイタケをつくる農家。2024年から、鹿児島市の消費者と一緒に米づくりを始めた。参加するのは、堀内さんから米を買っていた人が声をかけて集まった10世帯。30~40代の面々が、5aの田んぼに月2回ほど、車で1時間半かけて通ってくる。水管理など日頃の作業はできないが、無農薬の田んぼで手押し除草機をかけ、草刈りもする。24年からの米価高騰も「この苦労を感じると当たり前の価格だよねー」と話しているそうだ。

「自分は大峰が好きなので、ファンになってもらって、ここに住む人が出てくればいい」と堀内さん。参加者の一人は、堀内さんの米でつくった甘酒や米粉パン・マフィンを売る準備を始めている。また25年には、大峰に移住する人が出てきた。住まいは、堀内さんが管理を頼まれていた空き家を賃貸で提供できた。30代の女性で、リモートワークをしつつ、地元の喫茶店や直売所「きたん市場」の店番もする。

 堀内さんの住む上大峰集落では、住民23人のうち15人が80歳以上。敬老の日に80歳以上に花を渡す集落の行事でそのことを実感し、「いずれ集落が消滅する」と言う堀内さんだが、小さな田んぼでの非農家との交流で、関係人口、そして新たな住民を確実に生み出している。

文=橋本(農文協)

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お米はなぜ足りなくなったのか。米価はどのように決まるのか。農家のリアルな適正価格。米問題の歴史年表。田んぼの生きもの図鑑。農家や田んぼとつながる方法リストほか収録。豊凶を繰り返すたびに農家と社会を揺さぶってきた歴史をふり返り、お米を誰かまかせでは成り立たない時代に入ったことを共有し、作り手と食べ手のどちらにも無理のない出口を示す。
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