国産クランベリーで休耕田を活用!
農村RMO・日向ふるさとづくり協議会は、湿地に強いクランベリーの栽培を開始。4aに約150本を植え、今春さらに拡大予定。3年後の収穫を目指し、生果販売や加工品開発を進める。輸入品が99%以上を占める中、特産化と販路拡大に期待が集まる。
石澤毅臣(山形県酒田市・日向ふるさとづくり協議会)
冷涼地の休耕田にピッタリ!?
昨年4月に発足した農村RMO・日向ふるさとづくり協議会(297世帯・約800人)では、休耕田の粗放的利用としてクランベリーの栽培を始めた。

クランベリーはツツジ科の植物で、アメリカ北部やカナダなど冷涼地域の湿地帯原産。日本では北海道で栽培されている。北海道にはツルコケモモというクランベリーの近縁種も自生しており、日向地区の気候は北海道に似ていることからこの作物を選んだ。
また、日向地区の主な農産物は米であり、今後、遊休農地や耕作放棄地が増加するとすれば水田と考えられる。その点、クランベリーは湿地に強い。剪定など面倒な作業も不要だ。
生長しても高さは80cm程度の低木で、横にも同じくらい広がる。アメリカ北部では、土手で囲まれた「ボグ」という広大な水田のような環境で栽培する。隙間なく地面を覆ったクランベリーは芝生のようだ。収穫期にはボグの水かさを上げると、真っ赤な果実が浮かび上がって水面を埋め尽くす。それをバキュームカーで集める。こんな映像を地域の高齢ベテラン農家もおもしろがり、ぜひやってみようということになった。

ソフトクリームに塩漬け・酢漬けも
昨年秋、4aほどの面積に初めて植えた苗木は約150本。複数の品種が混じったほうが結実がよくなるというので、二つの会社から計3種類の苗木を取り寄せた。この春にも同じく4aほど休耕田に植える予定だ。
3年後から収穫を始める予定で、生の果実のまま飲食店や青果店に卸すほか、加工販売も予定している。日向地区には牧場もあるのでクランベリーのソフトクリームはぜひやりたい。また、北海道の開拓時代には、ツルコケモモを塩漬けや酢漬けにして梅干し代わりに食べたとも聞いた。デザートやスイーツだけではないこうした加工品も試してみたい。
当初、休耕田の利用にはブルーベリーも候補に挙がったが、先行産地が各地にたくさんある。一方、日本で流通するクランベリーの99%以上は輸入品。この作物なら競合が少なく先行優位性を確立できると思った。