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最新号より山・里山試し読み季刊地域vol.65(2026春号)

青森

【製材で稼ぐ小さい林業 上】山土場で使える製材機「ターボソーミル」

製材

丸太のままでは利益が出にくい――そんな林業の課題に、小規模事業者はどう向き合えばいいのか。青森で自伐型林業に取り組む合同会社Yew Villageの皆上伸さんが注目したのが、移動式製材機「ターボソーミル」。「山で製材する」というイメージです。実体験をもとにご紹介いただきました。

執筆者:皆上 伸(青森県六戸町・合同会社ユウビレッジ)

『季刊地域』65号(2026年春号)「山土場で使える製材機「ターボソーミル」」より

丸太のままでは価格が安い

 青森県六戸町で林業を営む合同会社Yew Village(ユウビレッジ)代表の皆上伸(40歳)と申します。2021年に妻と2人で起業し、実家の1haの山林経営を起点に、端材を薪として活用しながら、薪ストーブや薪ボイラーの販売・施工、木製品の受注生産などを行なっています。

 昨年から、ニュージーランドの移動式製材機メーカー 「Turbosawmill(ターボソーミル)社」の正規輸入代理店として日本で販売を開始しました。私がこの決断に至った背景には、山林所有者の誰もが直面しているであろう「丸太価格が安い」という現実がありました。

 山の木を育てて、切って、搬出しても、丸太のままでは価格が伸びにくい。打開策は、板や角材に加工して用途をつくり、自分で価格を決めて売ることでした。そうした木材利用の一丁目一番地となるのが製材です。

丸太を載せる架台はなく、枕木の上に載せて挽く
丸太を載せる架台はなく、枕木の上に載せて挽く
分解して軽トラ運搬が可能
分解して軽トラ運搬が可能
ターボソーミル
仕様(手動式・M8-13モデル)
・長さ6.2m×幅2.05m×高さ1.73m
・重量310kg
・ガソリンエンジン(13馬力)
・直径1.2m、長さ4.2mの丸太まで対応(オプション装着で6.2mに延長)
・参考価格380万~420万円(税抜)
*価格は為替や仕様により変動します。詳しくはお問い合わせください。

製材したくても頼み先が見つからない

 ところが、現実を見ると、中小規模の製材所は廃業したり、存続していても賃挽きをしてもらえなかったりすることが増えています。仮に賃挽きしてくれる製材所が見つかっても、山土場から距離が遠くて運搬費が高くつくなど「挽きたくても挽けない」状況が各地で見られます。

 一方、建築会社やリフォーム会社からは「地域産材を使いたいのに手配ができない」という声をよく聞きます。製材ができなければ、加工も商品化も前に進まず、山と町の間に空白が広がる一方なのです。

課題は丸太の運搬コスト

 そこで私が最初に考えたことは、帯鋸式の簡易製材機の導入です。海外製の移動可能なものを導入し、自社製材を始めました。

 導入にあたって、製材の教科書も探してみましたが、そういうものは存在せず、それぞれの製材所が独自の方法や経験則で製材していることもわかりました。周りに聞ける人もなく、実際にやってみて、試行錯誤を繰り返しながら、なんとか安定的に板を生産できるようになりました。

 導入後、SNSで製材の様子の発信も始めたところ、自伐型林業に取り組む方々を中心に「製材機を見せてほしい」と見学依頼が増えました。しかし、実際に作業を見てもらうと、「製材機のある場所まで丸太を運ぶコストが高いので、山土場で製材できればいいのに……」という参加者からの声が毎回聞かれました。

 また、製材本数が増えると刃のメンテナンス頻度が上がり、研磨には1回30分以上かかります。ずぼらな私には億劫で、もっと製材に集中したいと考えるようになりました。

山土場で使える製材機

 そんな折、SNSでカナダのユーチューバーが、これまで見たことのない丸鋸式製材機で手際よく作業する動画を発見。それがターボソーミル社の製品でした。

 動画を見た1カ月後にはニュージーランドへ赴き、実機を確認。現場で使う道具として合理的で、日本の小さい林業にとって大きな武器になると確信しました。その場で正規輸入代理店の契約を結び、帰国後すぐに5台を発注、販売を開始しました。

▼丸鋸刃が90度向きを変える

 ターボソーミルの最大の特徴は、丸鋸の刃が水平・垂直に90度向きを変える「スイング方式」です。丸太を何度も回転させることなく正確に角材や板材を切り出せるため、作業効率も製材の精度も大幅に向上します。

木を切り出すブレードはスイング式になっていて、角度を90度変えられる



木を切り出すブレードはスイング式になっていて、角度を90度変えられる

▼丸太の据え付けがラク

 また、丸鋸を1本のレールで固定するモノレール設計です。丸鋸の下に簡単に丸太を据え付けたり、取り出したりできます。丸太の据え付け作業の自由度が高く、土場での段取りも組みやすい。

カット方法の例
カット方法の例

▼刃の研磨は3分

 丸鋸の刃は5~8枚で、付属キットを使って、機械から外さずに約3分で研磨できます。刃が消耗しても先端部の交換で済み、長期的なコストを抑えられます。刃の状態を保ちやすいことは作業と製材品の安定性に直結し、製材ノウハウが十分でない方でも安心して使用できます。

▼小型モデルは軽トラに載る

 ターボソーミルの大きさはいくつかありますが、小型で可搬性の高いモデルの重量は約300kg。パーツごとに分解して、軽トラに積載可能です。

山土場で製材できるメリット

 各地に出向いて、ターボソーミルを使った製材実演もやっています。みなさんスイング方式の高い操作性に驚かれます。丸太を回転させずに四面を決められ、少人数でも作業が容易。体力を要する工数が減ることで製材に集中できます。

 山土場で一次加工までできれば、必要な材だけ乾燥や加工に回し、運搬コストを軽減できます。運搬コストが大きい地域ほど経営改善に直結するはずです。もちろん、工場にターボソーミルを据えてさらに効率よく製材することも可能です。

 25年春からユーチューブでのPRも始めました。また、実演会では「どんな寸法の材を……

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