ホーム / 連載 / 米価高騰を考える / 【米価高騰を考える】Vol.1 ご飯1杯54円は高いか?安いか?
連載米価高騰を考える

【米価高騰を考える】Vol.1 ご飯1杯54円は高いか?安いか?

今から10年前、『季刊地域』では「米価下落に反撃開始! お米の流通読本2015」を特集しました(2015年冬号(No.20))。この30年間で米が一番安かった当時と比べると、現在の価格は約3倍。食パンより高くなったと言われますが、その他の身近な食品と比べるとどうでしょうか。
この連載では、「米価高騰を考える」をテーマに、全6回にわたってお届けします。

文=編集部

●ご飯1杯はペットボトル茶1/3本と同じ値段

今年5月中旬(12~18日)、全国のスーパーで米の平均価格は5kg4285円まで上昇。この米は茶碗1杯分だといくらになるだろうか。

茶碗の大きさにもよるが、米1kg はご飯にすると約16 杯分(ご飯1杯分の米は62.5g)。5kgで4285 円の米だと、ご飯1杯は53.56 円である。

写真=高木あつ子

10年前に米が一番安かったときは、なんと1杯17円。3倍以上の値上がりだ。

54円として他の食品とくらべてみた。例えば、525mlのお茶ならば、約1/3本(178ml)[1本159 円]、ドーナツで21.6g[1個172円]、即席焼きそばで41.8g[1個231 円]、アイスで16.9g[1個351 円]がご飯一杯と同じ値段になる。

注)米の価格が税込価格なので、他の製品も税込で比較した。

ペットボトルだと~

米の価格が急騰して困っている消費者が少なくないのは確かだ。しかし、それでもご飯1杯がペットボトル茶1/3本分、アイスだとほぼ二口分にしかならないとすると、高いとも言えないような気がするがどうだろうか。

●前年までの米は安すぎた

昨年夏の令和の米騒動以来、スーパーの米の価格は「2倍以上」に値上がりしたと言われるが、それは、一昨年までの価格が安すぎたからとも言える。30年前は、白米5㎏で3000円前後の店頭価格が一般的だった。

もう一つ注視しておきたいのは、なかなか小売店に出まわらない備蓄米の流通で、卸売業者が通常の米の流通時に比べて1.6~3.4倍もの経費・利益を上乗せしていることがわかったことだ。政府から備蓄米を買い受けた集荷業者(JAなど)は、玄米60kg当たり平均961円を上乗せして卸売業者に売り渡していたのに対し、その後の卸売業者の段階では同じく平均7593円を上乗せしていたという(農水省5月16日公表)。

小泉進次郎農水大臣が就任して、政府は備蓄米を随意契約でこれまでの半額程度(玄米60kg1万1556円)で売り渡すことになった。契約先は大手小売りに限られ、卸売業者や集荷業者は中抜きされる。備蓄米は5kg2160円程度になる予想だそうだ。

主食用米価格の推移

これはJAなど集荷団体と米卸との取引価格。さらに卸やスーパーの手数料や流通経費が加わって小売価格になる(『季刊地域』2025年春号No.61より)

あわせて読みたい

本誌または「ルーラル電子図書館」でぜひご覧下さい。

ルーラル電子図書館は、年額制の有料会員向けサービスです。

  • ・便利な検索機能で『季刊地域』『現代農業』のバックナンバーが読み放題
  • ・動画で、荒れた竹林や獣害対策のコツを分かりやすく解説
  • ・地域資源活用のバイブル『食品加工総覧』も読み放題

 ルーラル電子図書館についてもっと詳しく見る 

この記事をシェア
タイトルとURLをコピーしました