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季刊地域Vol.57 (2024春号)試し読み

高知

【「使い切れない農地」活用】たとえばこの品目で粗放利用 イタドリ

昔ながらの野草、イタドリがじつは地域の宝だった。休耕田を使って集落みんなで栽培・加工して村の特産品に。稲作以上の利益が見込めて、地域が元気になってきた。

戸田晴喜(高知県中土佐町・北地区振興会)

イタドリはタデ科の多年草。高知では、若芽を油炒めなどで食べる

 大野見北地区は、高知県南西部の中土佐町にあります。当地区は、5集落で構成され、古くから稲作や林業を生業としてきました。住民の結びつきが強く、自治組織「北地区振興会」が旧小学校跡地を拠点に、月1回の見守りパトロール、運動会・文化祭等様々な活動を行なっています。

*集落活動センターとは・・・高知県版の小さな拠点、地域運営組織のこと。平成の大合併前の旧小学校区や自治会などを単位に住民自ら地域課題の解決や仕事づくりに取り組む。

草取り不要で獣害も少ない

 収益事業の柱は、イタドリの栽培です。イタドリは、高知の家庭で食べられる春の山菜。栽培に踏み切った理由として、休耕田を活かし耕作放棄地の解消になること、栽培・収穫・加工の手間が少ないこと、高額な機械が不要であること等が挙げられます。

 まず、地区住民13人(平均年齢75歳)のメンバーが集まり、肉厚で収量の多い「鏡1号」を栽培品種に選定しました。この鏡1号の苗をメンバー個々が育成者グループから購入し、合計1.3haの耕作放棄地で栽培を開始して約3年になります。

収穫の様子。手で折って袋に集める
イタドリを栽培するメンバー。2列目左端が筆者

イタドリの栽培方法は次の通り。

1年目

・2月頃、畑に張ったマルチに60㎝間隔に切れ込みを入れ、長さ20㎝の地下茎を植える。
・マルチの穴から出る草を取りながらイタドリの株を育てる。
・10月以降に葉が落ち、茎が枯れるので、12月前後にそれを刈り取る(がら刈り)。
・2月までに肥料の鶏糞を施す。

2年目

・4月に最初の収穫。太さ2.5cm、長さ40㎝ほどの若芽を手で折る。
・5~6月にお礼肥の鶏糞を施す。
・がら刈りや冬にやる肥料は1年目と同様
消毒は不要、イタドリは高さ2mほどに育って雑草を陰にするので、2年目からは除草も必要ありません。

イタドリを栽培するメンバー。2列目左端が筆者

 植え付けから丸2年経った2回目の収穫以降は、10a当たり・・・

農地を守る(なにで?)ーたとえばこの品目で粗放利用」のコーナーには以下の記事も掲載されています。ぜひ本誌(紙・電子書籍版)でご覧ください。

  • ・ダッタンソバ 耕作放棄地326haで有機栽培
  • ・ヨモギ
  • ・ヒツジ
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農文協 編
実家や地域の「使い切れない農地」「持て余した農地」は、新規就農者や農的な暮らしを求める人にとっては、活用したい地域資源。手を入れれば、有機農業や自給菜園、養蜂の蜜源地など、新しく農業で生計を立てたり、仲間と自給自足を楽しんだりできる「余地(余裕地)」でもある。本書は、『季刊地域』『月刊現代農業』に掲載された記事を再編集し、「荒らさない、手間をかけない、みんなで耕す」農地活用の工夫を大公開。「25のおすすめ品目」「64の用語解説」「知っておきたい農地制度Q&A」など、田舎暮らしに関心がある人にもおすすめ。
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