嘉麻市の獅子保存会の会長・平嶋勝博さんから、熊ヶ畑伝統の「獅子舞」が今年復活するといううれしい一報を伺いました。
主導するのはかつての子供獅子たちです。子供が減り伝え手も高齢化で、祭りの存続が危ぶまれたところ、青年となった彼らが「またやりたい」と声を上げ、獅子舞と子供獅子の復活に動き出しています。年末に隣の桂川町で行なわれる大きな祭りに向け、子供を含めた30人が一丸となり練習に励んでいるそうです。
平嶋さんは近年の「伝統は維持しなければいけない」という義務的な言葉には疑問を持っています。獅子舞は稲作文化。米がとれた喜びや感謝と、翌年の実りを祈る気持ちを表現するのが獅子舞で、人が生きるサイクルの中で自然に生まれ、暮らしに組み込まれてきた、といいます。
熊ヶ畑小学校の子供たちは、地域の農家から、米づくりやしめ縄づくり、もちつきを授業の中で体験させてもらい、獅子舞も教わってきました。こうした地域とのつながりを続けてきたからこそ、熊ヶ畑の獅子舞は息を吹き返そうとしているのではないでしょうか。
農業は産業に、文化は観光へと、農業と文化が切り離された現代に伝統芸能の本来の姿を教えてくれる明るいニュースです。
(農文協 松久保 知那)