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季刊地域Vol.58 (2024夏号)ゆるくらジャーナル

栃木

自伐林家が山と木の役割を出前授業

 スギやヒノキの山を持つ鹿沼市の自伐林家・金子裕美さんは、地元の加園かぞの小学校で5年生の総合的な学習の時間の講師をしています。森林学習がテーマ。一緒に山を歩きながら、山へ入る時の心得や草・昆虫・木の役割を話したり、植林体験をしてもらいます。

 また今年の春は、友人の農家が開いた田植えイベントで山の話をしました。参加者の親子に、田んぼと森のつながりや木の役割を、県の職員がつくった紙芝居で伝えたそうです。

 おもしろいのは、この時に使ったもう一つの「教材」です。発泡スチロールの容器に詰めた土に、モミジ・カラマツ・イチョウなどが5年以上育っており、コケも生えています。別の同じような容器には1~2年生のイチョウが2本のみ。どちらも底の穴から水が抜けるようになっています。

 では、両方の容器の木に水をかけるとどうなるか? 前者は透明な水がちょろちょろ、後者は土が混じった水がじゃばじゃば流れ出しました。前者は、細かく張り巡らされた根が土をしっかり保持するのに対し、後者は根が少ないので土が流れてしまう。この差は山の木の働きを端的に表わしています。

 田植え体験で山の機能まで学べるのが、山の多い鹿沼市ならではでいいなと思いました。

左がモミジやカラマツが育つ容器

(農文協 江崎嵩弘)

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