全国をまわる農文協職員が集めた元気な活動の数々をご紹介します。「ゆるがぬ暮らし」「ゆるがぬ地域」づくりに取り組む各地の耳寄りな情報です。

この春、世羅町循環型農業推進協議会(町内の認定農業者等で構成)は「みどりの食料システム戦略」の交付金で「環境負荷の低い水稲栽培マニュアル」を作成しました。それには「箱剤については、殺虫成分を含有しないものを使用すること」とあります。
一般的に箱剤(苗箱施用剤)にはイネミズゾウムシ、イネドロオイムシ、ウンカ等の殺虫成分が含まれています。県の農業技術センターが実施した2年間の試験によると、県内の9月上旬収穫イネの場合、これらの害虫は箱剤の殺虫成分なしでもイネの生育に影響しないとの結果が出ました。
マニュアル発案者で有機稲作に取り組む延安勇さん(65歳)は、害虫には予防的に農薬を使うのではなく、生産者自らが圃場を観察し、発生状況に応じた防除をすることが大事だと言います。例えばマニュアルには、イネドロオイムシは幼虫孵化最盛期の6月中下旬に1株あたり幼虫が12頭いる場合は防除、それ以下ならイネの生育に影響はないとあります。ムダな防除をしないことが、農薬のコスト削減と環境負荷軽減につながるのです。
延安さんは町内に生息する絶滅危惧種のチョウ・ヒョウモンモドキを保全する会の会長でもあります。このチョウを保全しつつ、誰もが取り組みやすく減農薬につながる栽培暦をつくりたいと思ったのが、このマニュアルをつくったきっかけでした。
文=原田(農文協)