「集落機能強化加算」廃止でいいのか?④でお伝えした「中山間地域フォーラム」に続いて、中山間地域等直接支払制度に関する第三者委員会が行動を起こした。10月1日、委員7名の総意として、第三者委員会の早期開催を農水省・農村振興局長に要望したのだ。
文=編集部
第三者委員会は、交付金の交付状況の点検および効果の評価等を行なう中立的な第三者機関。今回、農水省が2025年度からの第6期対策で集落機能強化加算の廃止を決めるにあたって、第三者委員会ではそのための評価・検証作業が行なわれていなかったことがわかっている。
委員長の図司直也法政大学教授名による要望書には次のようにある。
「次期対策における概算要求の中で、現行の『集落機能強化加算』の廃止が打ち出され、現場に混乱が生じています。第三者委員会において加算措置に関する検証が十分なされないままに廃止の方針が示されたことは、本委員会の役割を軽視したものと言わざるを得ません。また委員自らも、今期の最終評価に責務を負う立場として、不十分な検討内容を看過することはできず、再度機会を設け、適切な評価作業を行う必要があると考えます。」
当然の要望だろう。今月から、農水省による第6期対策の市町村への説明が始まると聞いたが、この評価作業を行なう前に第6期対策の内容は決められないのではないだろうか。
10月1日には石破新政権も誕生した。9月17日付け日本農業新聞の論説でこの問題を知った当時の鈴木憲和副大臣は、省内で「撤回するように話した」と読めるコメントをX上で発している。小里新農水大臣はもちろん、過去に農水大臣を経験している石破首相にも「撤回」の検討を求めたい(今はそんな余裕はないだろうか)。
それに、せっかく降ってわいた選挙である。10月27日の衆議院選挙には、この問題の行方も気に留めながら臨みたい。
農文協では、兄弟誌『現代農業』掲載の「主張」欄でも「農の風景を守るのは誰だ 『集落機能強化加算』廃止でいいのか?」と題した文章を掲載している。ウェブサイトでも公開しているので、ぜひこちらもご覧ください。
また、JAcomのウェブサイトでは、小松泰信岡山大学名誉教授が皮肉を込めて廃止を批判していることもお知らせしたい。
集落機能強化加算については『季刊地域』2025年冬60号(1月6日発売)の誌面でも引き続き取り上げる予定だ。