昔ながらの野草、イタドリがじつは地域の宝だった。休耕田を使って集落みんなで栽培・加工して村の特産品に。稲作以上の利益が見込めて、地域が元気になってきた。
戸田晴喜(高知県中土佐町・北地区振興会)
大野見北地区は、高知県南西部の中土佐町にあります。当地区は、5集落で構成され、古くから稲作や林業を生業としてきました。住民の結びつきが強く、自治組織「北地区振興会」が旧小学校跡地を拠点に、月1回の見守りパトロール、運動会・文化祭等様々な活動を行なっています。
しかし、近年、人口減少と高齢化が顕著となり、耕作放棄地(休耕田)の増加への懸念や、年金収入だけでの生活への不安の声が振興会に寄せられるようになりました。そこで、県や町の支援を受け、2019年10月に*集落活動センター「おおのみきた」を設立し、耕作放棄地や老後生活資金の課題解決に向けて収益事業を開始しました。
*集落活動センターとは・・・高知県版の小さな拠点、地域運営組織のこと。平成の大合併前の旧小学校区や自治会などを単位に住民自ら地域課題の解決や仕事づくりに取り組む。
草取り不要で獣害も少ない
収益事業の柱は、イタドリの栽培です。イタドリは、高知の家庭で食べられる春の山菜。栽培に踏み切った理由として、休耕田を活かし耕作放棄地の解消になること、栽培・収穫・加工の手間が少ないこと、高額な機械が不要であること等が挙げられます。
まず、地区住民13人(平均年齢75歳)のメンバーが集まり、肉厚で収量の多い「鏡1号」を栽培品種に選定しました。この鏡1号の苗をメンバー個々が育成者グループから購入し、合計1.3haの耕作放棄地で栽培を開始して約3年になります。
イタドリの栽培方法は次の通り。
1年目
・2月頃、畑に張ったマルチに60㎝間隔に切れ込みを入れ、長さ20㎝の地下茎を植える。
・マルチの穴から出る草を取りながらイタドリの株を育てる。
・10月以降に葉が落ち、茎が枯れるので、12月前後にそれを刈り取る(がら刈り)。
・2月までに肥料の鶏糞を施す。
2年目
・4月に最初の収穫。太さ2.5cm、長さ40㎝ほどの若芽を手で折る。
・5~6月にお礼肥の鶏糞を施す。
・がら刈りや冬にやる肥料は1年目と同様
消毒は不要、イタドリは高さ2mほどに育って雑草を陰にするので、2年目からは除草も必要ありません。
植え付けから丸2年経った2回目の収穫以降は、10a当たり・・・