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試し読み季刊地域No.61 (2025春号)ゆるくらジャーナル

栃木

国産木材チップで発電、熱利用地域でお金がまわる

全国をまわる農文協職員が集めた元気な活動の数々をご紹介します。「ゆるがぬくらし」「ゆるがぬ地域」づくりに取り組む全国各地の耳寄りな情報です。


星さんが栽培するドラゴンフルーツ

 株式会社トーセンは、廃校になった那珂川町の馬頭東中学校跡地で2012年に製材所を、その2年後にはバイオマス発電所を稼働させました。平地を探すのが難しい山間部では、広い校庭をもつ廃校がピッタリでした。

 同社は、林地残材などを発電所の燃料用に買い取る「木の駅プロジェクト」にも取り組んでいます。地元住民が木の駅にこれらを持ち込むと、1t当たり5000円ほどが地域通貨(2000円分を町などが補助)で支払われ、町内40店舗で使えます。昨年度は509tの木が集まり、約255万円が町内を回ったことになります。

 同社が買い取った木はチップ化され、発電所のほか、町内の松野地区に設置された大型木質ボイラーでも使われます。トーセンのこの事業では排熱利用も特徴で、地元の農家など10事業者が「那珂川町地域資源活用協同組合」を立ち上げ、発電所の隣ではコーヒー生産やウナギの養殖に利用。松野地区では、工場のそばに建てたハウスでマンゴー、ドラゴンフルーツを栽培します。

 「燃料が高騰する中で、町の6割以上を占める森林資源を地域で活用できることを誇りに思う」と言うのは栽培農家の一人、星一明さん。エネルギーを自給しながら地域でお金が回る素晴らしい仕組みだと思いました。

(農文協 江崎嵩弘)

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農文協 編
特集:農家が足りない! 増やすために動く
農文協
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